2016 年 7 月 16 日 のアーカイブ

村山覚 16年7月16日放送

160716-01
APOLLO 11 ウォルター・クロンカイト

1969年7月。
人類は「月」を見上げていた。
そこには2人の男とテレビ中継用のカメラを搭載した
月着陸船がいた。

アポロ11号。人類初の月面着陸という
かつてないミッションを遂行するためには
科学技術の発展だけではなく、大衆の支持も不可欠だった。
なぜなら、アポロ計画には莫大な国家予算が
注ぎこまれていたからだ。

アメリカの三大放送局のひとつCBSは
142台のカメラ、1000人近いスタッフを投入し、
32時間に及ぶ特別番組「MAN ON THE MOON」を制作。
名物キャスター、ウォルター・クロンカイトが
月面での一挙手一投足をリアルタイムで伝えた。

クロンカイトの座右の銘は「完璧に至る近道はない」。
関係者ひとり一人の想いの積み重ねが、
38万6200キロという距離をこえた。


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村山覚 16年7月16日放送

160716-02
APOLLO 11 ウォルター・クロンカイト

 月面着陸は、私を、興味深くも
 非常に感情的にさせた。
あの乗り物が月に着陸したとき、
 私はことばが出なかった。
本当に、私は、何も言えなかった。


CBSイブニングニュースのアンカーマン、
ウォルター・クロンカイトは
その落ち着いた語り口と
徹底的な取材に基づいた報道姿勢が評価され、
アメリカの良心、大統領よりも信頼できる男、
などと言われた大ベテランだ。

彼は宇宙を愛し、アポロ計画に賛同していた。
もちろんアポロ11号についても、
事前の入念な取材によって
数多くの言葉を準備していたはずである。

どんな時も、どんなニュースでも、
的確な言葉で流暢に話すクロンカイトが
月面着陸の直後、言葉につまった。

沈黙は、時に、なによりも雄弁だ。


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藤本宗将 16年7月16日放送

160716-03
APOLLO 11 バズ・オルドリン

1969年、アポロ11号は月面に到達した。
しかしその偉業が捏造だと主張する者もいる。

そんな陰謀論者のひとりが2002年にある事件を起こした。
アポロの乗組員だったバズ・オルドリンを待ち伏せしたのだ。

男はオルドリンに対して執拗に迫り、
挑発的な言葉をぶつけた。

 聖書に手を置いて、月に行ったことは事実だと誓ってみろ!
 行ってもいないのにインタビューや著作で報酬を得るのは
 詐欺・窃盗行為だ!


さらに男は罵声を浴びせ続ける。

 臆病者!嘘つき!盗人!

そのときだった。

当時72歳とは思えない
オルドリンの強烈なパンチが男の顎に決まったのだ。

どんなときも沈着冷静を求められる宇宙飛行士だが、
このときばかりはプライドが許さなかったのだろう。

のちにオルドリンは、こんなツイートをしている。

 もしわれわれが着陸していないのなら、
 今頃ロシアがそれを暴露しているはずさ



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藤本宗将 16年7月16日放送

160716-04
APOLLO 11 アームストロング一族

16世紀スコットランドに
ジョニー・アームストロングという領主がいた。
時の王より強力とまでいわれ、
イングランドとの戦いで国を守った英雄だった。

しかしその存在を疎ましく思った王は
彼を騙して呼び出し、捕えてしまう。
わずかな手勢のジョニーに対し、待ち伏せの兵士は1万人。
このときジョニーが切った啖呵が歌として伝承されている。

 王であり 君主の身分でありながら
 嘘をついたな 卑怯者
 生涯でおれが愛するのはただひとつ
 それは正直な心根だ


時は流れて1972年。
生きのびた末裔のひとりが、
この地の自由市民として迎えられた。

ニール・アームストロング。
アポロ11号の船長にして、はじめて月に立った人類。

そのときの式典では、
400年前に施行されたまま廃止されていない
こんな法律の条文が紹介された。

「この地で見つけたすべてのアームストロングを絞首刑にせよ」

それでも王の追手から逃れ、アメリカへ渡り、
ついには月までたどりついた。
この一族は、名前の通りタフらしい。


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福宿桃香 16年7月16日放送

160716-05
APOLLO 11 吉田和哉

 大切なのは、ワクワクすること。
 宇宙にワクワクするなら、その道に進もうと思ったんです。


アポロ11号が叶えた人類初の月面着陸は、
日本でも生中継され、多くの人たちが見守った。
当時8歳だった吉田和哉も、そのうちの一人だ。

アポロは彼の夢になった。
大学では工学部に進んだがその気持ちは変わらず、
「宇宙ロボット」というジャンルを開拓。
自分の手がけたロボットが宇宙へ行く日を目指して、情熱を注いだ。

そして今。
吉田はもう一度違う形で、
アポロ11号に出会おうとしている。
民間の月面探査チーム「HAKUTO(ハクト)」が来年、
吉田の制作したロボット探査機を月に飛ばし、
アポロ着陸の痕跡を探す予定なのだ。

47年の時を経て、憧れに間もなく、手が届く。


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