2016 年 7 月 24 日 のアーカイブ

森由里佳 16年7月24日放送

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文(ふみ) 切手デザイナー:小さなスタンプから広がる世界

年間約40種類以上発行されるという切手。

その絵柄を考えているのは、
日本郵便株式会社にいる切手デザイナーだ。

今まで発行された切手には、
歴史や芸術はもちろん、スポーツや食べ物、
動植物からアニメまで、あらゆるものがデザインされてきた。

主任デザイナーの玉木明は、こう語る。

 切手のデザインには学校で習うもの全てが含まれているんです。
 それは、切手から社会の全てを学ぶことができるということ。
 見る人にとって、知らなかった世界を知るきっかけになればいい、と思います。



今月は文月。
メッセージをこめるなら、
タップして送るだけのスタンプもいいけれど、
手紙に貼るスタンプも、いかがですか。


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森由里佳 16年7月24日放送

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文(ふみ) 切手デザイナー:消印の下にも、ご注目。

消費税増税がきっかけで、2円切手が復活した。
50円切手や80円切手に組み合わせて、差額分として使うためだ。

切手デザイナーは、貝淵順子。

 いろんな用途で楽しく使っていただけるように

彼女がそんな思いを託したデザインは、
まっしろなエゾユキウサギの絵。

ふんわりと愛らしいその姿は、
一枚多く切手を貼るときのちょっとトゲトゲしたきもちも、
ふんわりと包みこんでくれそうだ。

そのためだろうか。
2円切手は、1シート100枚を一度に購入する人がいるほどの人気ぶりである。

今月は文月。
手紙を書くときは、便箋だけでなく、
切手にもこだわってみませんか。


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森由里佳 16年7月24日放送

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文(ふみ) 切手デザイナー:切手に、物語を。

2003年にはあみものをしていたひつじが、
2015年には完成したマフラーをまいている。
2004年には一匹で温泉に入っていた猿が、
2016年にはこどもの猿と二匹で温泉を楽しんでいる。

これを聞いて、ピンとくる人もいるだろう。
話題になった、年賀ハガキのデザインだ。

日本中を虜にした遊び心の持ち主は、
切手デザイナーの星山理佳(あやか)。

 いろんな表現があるけれど、
 歴史をのこし伝えていく切手をつくっていきたい。


そう語る彼女だからこそ、
年間40種以上も発行されるという切手に、
12年の歳月を経た物語を見いだせたのだろう。

今月は文月。
むかしの手紙を見返してみるのもいいかもしれません。


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佐藤日登美 16年7月24日放送

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文(ふみ) 宮崎駿からの手紙

映画監督、細田守。
彼は、宮崎駿の「ルパン三世 カリオストロの城」に衝撃を受け、
映画制作に興味を持つ。

だから、細田が就職先としてスタジオジブリを選んだのに不思議はない。
彼は、絵を2枚以上描いて提出する試験で150枚以上を提出し、
その熱意をアピールした。
しかし、最終選考で不採用になってしまう。

落胆した細田のもとに、宮崎駿から手紙を届いた。

 君のような人間を入れると、
 かえって君の才能を削ぐと考えて、入れるのをやめた


結局、細田はジブリを諦め、のちの東映アニメーションに入った。
そして後年、彼は「時をかける少女」や「バケモノの子」を発表することとなる。

今月は文月。
すばらしい映画は、一通の手紙によって生まれたのかもしれない。


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佐藤日登美 16年7月24日放送

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文(ふみ) リルケからの手紙

詩人、リルケ。

ある日、彼は詩人を志す青年から手紙を受け取る。
中には青年が書いた詩と、その詩を読んで、
自分が詩人になれるかどうか見極めてほしい、という依頼が入っていた。
しかし、偉大な詩人リルケは、「わたしにはできない」とこの頼みを断った。

 あなたの夜の最も静かな時間に、
 自分は詩を書かずにはいられないのか…、とご自分にお尋ねなさい。
 心のなかを掘って深い返事をお捜しなさい。
 (中略)
 そして、もしあなたがこの真剣な問いに、
 「私は書かずにはいられない」という
 強い簡単な返事をすることがおできになるならば、
 そのときには、あなたの生活をこの必然性に従ってお建てなさい。


今月は文月。
一通の手紙で、詩人は若者の情熱と覚悟を問うた。


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佐藤日登美 16年7月24日放送

160724-06 koharuteisyoku
文(ふみ) 15歳の自分からの手紙

アンジェラ・アキの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」。
この歌は、アンジェラ・アキ自身が学生のとき、
大人になった自分に宛てた手紙から生まれている。

彼女は30歳のときに、その手紙と再会する。
そこには、親にも友だちにも言えない悩みが、
便箋6枚にもおよんで書きつづられていた。
15歳だからこそ持つ苦く、くるしい気持ち。

二番の歌詞は、そんな自分に対しての返事になっている。

 今負けないで泣かないで消えてしまいそうな時は
 自分の声を信じ歩けばいいの


彼女のことばは、15歳だった自分にだけでなく、
15歳を生きるすべての人たちに向けられている。

今月は文月。
一通の手紙は、過去にも未来にも届けることができる。


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蛭田瑞穂 16年7月24日放送

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文(ふみ) 三島由紀夫『レター教室』

三島由紀夫に『レター教室』という作品がある。

恋したり、フラれたり、あざけりあったり、憎みあったり。
職業も年齢も異なる5人の男女が繰り広げるさまざまな人間模様を
すべて手紙形式で表現した小説だ。

「古風なラブレター」「借金の申し込み」
「結婚と新婚を告げる手紙」「裏切られた女の激怒の手紙」など、
31通の手紙が作中に登場する。

小説を読みながら、いつしか手紙の書き方も学んでいるという
ユニークな作品である。

今月は文月。
たまにはメールではなく、直筆の手紙を書いてみませんか。


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蛭田瑞穂 16年7月24日放送

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文(ふみ) 夏目漱石『こころ』

夏目漱石晩年の名作『こころ』。

 わたくしはその人を常に先生と呼んでいた。
 だからここでもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない。


小説の前半は、鎌倉の海岸で出会った “先生”の姿が
先生の不思議な魅力にとりつかれた学生の目を通して描かれる。

後半は先生の謎に包まれた過去と内面が、
先生からの手紙という形式で語られ、明らかになる

対照的なふたつの文体により、人間の奥底に潜むエゴイズムと、
人間としての倫理観との葛藤が見事に表現される。

今月は文月。
手紙が鍵となる小説を読んでみてはいかがですか。


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