小野麻利江 17年9月24日放送

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涙のはなし 殷富門院大輔の涙

見せばやな 雄島(をじま)の蜑(あま)の 袖だにも
濡れにぞ濡れし 色は変はらず

百人一首の中に、こんな恋の和歌がある。
詠み人は、平安時代末期の女流歌人、
殷富門院大輔(いんぷもんいんのたいふ)。

海女の袖でさえ、
どれほど波しぶきで濡れても
色が変わらないというのに。

あなたのつれなさを嘆く私の涙は
血の涙となり、
袖の色まで変わってしまった。

涙で袖を濡らすだけなら、
まだまだカワイイものよ。

平安時代の恋愛の先輩の、
そんな声が聞こえてきそうな一首である。

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