2020 年 2 月 のアーカイブ

熊埜御堂 由香 20年2月23日放送

3. 富士山のはなし 文化遺産としての富士山 

富士山を、世界遺産に。
1992年に日本が世界遺産条約に加盟してから、
自然遺産として登録を目指してきた。
しかし、登山者によるごみ問題など環境への配慮が
改善されずに、文化遺産として登録する方針に切り替えられる。
そして、2007年にはユネスコの暫定リストに登録。
2013年に、やっと登録された。

信仰の対象と芸術の源泉というタイトルで登録を受けた富士山。
山体はもちろん、周辺の神社、風穴、溶岩、河口湖などの湖や沼など
全部で25ヶ所の複合遺産だ。
富士山から最も離れたところにある三保の松原。
歌川広重の浮世絵を始め数々の芸術作品のモチーフとなってきた。
距離が離れすぎていて、対象から外れそうになったが
日本の説得で、一緒に登録されることになった。

現在、海外からの登山客も増える中で、
環境への取り組みも進んでいる。
富士山に魅了されてきたすべての人の願いを乗せて。
その美しい姿を、いつまでも。
今日は富士山の日。

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石橋涼子 20年2月23日放送

2. 富士山のはなし 富嶽三十六景 

今日は富士山の日。
今月から新しくなった日本国パスポートも、
富士山のデザインになった。
各ページに、葛飾北斎『富嶽三十六景』のうち
24作品が印刷されているのだ。

世界的にも有名な葛飾北斎の「富嶽三十六景」は、
日本各地から眺めた富士山が楽しめる。

北斎は50代で江戸から西国(さいごく)へ旅して、
東海道の各宿場から富士山をスケッチしたという。
その後も構図を練り続け、
富嶽三十六景が完成したのは北斎72歳の時だった。

当時、あまりの人気のため、十景が追加され
富嶽三十六景は全部で46種類になった。

町人文化が花開き、五街道や宿場町が整ったとはいえ、
それでも旅に出られる人は限られていた。
庶民は旅への憧れも込めて、北斎の浮世絵を求めたのかもしれない。

遠い場所を思ってワクワクする楽しさは、
富士山の絵を眺めていた江戸の頃も、令和の今も、
きっと変わらない。

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石橋涼子 20年2月23日放送

1. 富士山のはなし 銭湯の富士山 

今日は富士山の日。
初夢で「一富士二鷹三茄子」と言うように
富士山は昔から縁起の良いものと決まっている。

富士山といえばお風呂屋さんの壁を思い出す人も
多いのではないだろうか。

銭湯の壁画には、商売繁盛の願掛けも込められている。
末広がりのカタチが運気を上げるということで
多くの銭湯で富士山の絵が好まれた
逆に、お客が去るを意味する動物の猿や、
運気が下がると言われる夕日などは描かれない。

銭湯の壁に初めて富士山を描いたのは、東京のとある店だった。
その始まりは、こどもたちに喜んで湯船に入ってほしいから、
という、意外にもシンプルな理由だった。

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藤曲旦子 20年2月22日放送



2月22日は、食器洗い乾燥機の日。

2月22日といえば、
にゃん(2)にゃん(2)にゃん(2)の語呂合わせから
「猫の日」を思い浮かべる人も多いだろう。

だが調べてみると、
他にもいくつかの記念日が制定されている。
その一つが「食器洗い乾燥機の日」である。

日本電機工業会が制定。
食器洗い乾燥機によって、食後にゆとりができ、
夫婦だんらんの時間ができるということから、
ふう(2)ふ(2)にっ(2)こりの語呂合わせだ。

昔から忙しいときには、
猫の手も借りたいといったものだが、
現代では、食器洗い乾燥機がその役目を果たしてくれているようだ。

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藤曲旦子 20年2月22日放送



2月22日は、おでんの日。

おでんの人気具材の一つである、
「白滝」と「糸こんにゃく」の違いはご存知だろうか。

どちらも生まれは、江戸時代。
「白滝」は関東。「糸こんにゃく」は関西が発祥地だ。

当時は別々のものだったが、
今では製法も同じになり、呼び名だけが残ったそうだ。

名前は違っても、おいしさは一緒。
具材一つ一つに歴史があるのも、
おでんの魅力のひとつかもしれない。

今日、2月22日は
フー(2)フー(2)フー(2)でおでんの日。

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堀井沙也佳 20年2月22日放送


MrSnooks
スタンリー・キューブリック

数々の名作を生み出してきた
鬼才 スタンリー・キューブリック監督。

「シャイニング」「フルメタル・ジャケット」「時計じかけのオレンジ」
作品のなかには度々、
精神が崩壊していく人間、
あるいは予め精神に異常をきたしている奇人が登場するのだが、
彼らにはみな「笑う」という共通点がある。

いろいろな感情を、涙で水に流す機能が失われたとき
人間は、泣くのではなく、笑う。
SOSのサインは、涙ではなく笑いの裏に
隠れているかもしれない。

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堀井沙也佳 20年2月22日放送


tojulius
レザボア・ドッグス

クエンティン・タランティーノ作の映画「レザボア・ドッグス」。
強盗をするギャング集団のなかに、
おとり操作を行う警官が紛れ込む物語は、
最後に思いもよらぬ、実に不条理な結末を迎える。

監督は、物語についてこう言及している。
「クライマックスの役者の心情を表す言葉は、英語にはない。
ただし、日本語にはある。それは、仁義だ」と。

レザボア・ドッグス。邦題は「仁義なき男たち」。

かつて中国より伝わった『仁義』という思想は、
2020年の今、世界のどこをさまよっているのだろう。

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川田琢磨 20年2月22日放送



ありがとうの形

チェコの作曲家、ボフスラフ・マルチヌーが書いた作品の一つに、
「5つの連作マドリガル」という小品集がある。
これは、彼の友人だった、とあるヴァイオリニストが演奏するために、
特別に書き下ろされたものだ。

そのヴァイオリニストは、曲を作ってくれたお礼にと、
相対性理論の特別講義を行った。
だが、チェコの偉大な作曲家には、さっぱり理解されなかったという。

この不思議なヴァイオリニストの名は、
かの天才科学者、アルベルト・アインシュタイン。

ありがとうの気持ちを伝える理論はまだまだ未完成だったようだ。

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奥村広乃 20年2月15日放送


tamaki
発酵か腐敗か

もう半分しかないと考えるか。
まだ半分あると考えるか。
同じものを見ても、全ては捉え方次第。

発酵と腐敗。
この2つの現象はとてもよく似ている。
どちらもカビや菌の力で、
食品の匂いや見た目が変化する。

納豆は微妙なラインの発酵食品だ。
海外では腐っていると食べるのを拒む人もいる。

納豆が発酵食品として受け入れられている日本。
ポジティブな人が多かったのか。
もったいない精神が旺盛だったのか。
全ては捉え方次第なのだ。

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澁江俊一 20年2月15日放送



心にも発酵を

発酵という現象がある。
自然の中の微生物の力を借りて
パンやチーズ、ビール、日本酒や漬物、納豆など
おいしい食べものを生み出してくれる
人類の食文化に欠かせないもの。それが発酵。

腐敗と発酵は実は「同じ」現象。
人間にとって、いいか悪いか、
ただそれだけの違いだ。

それをヒントにして
人の心も発酵すると、考えてみてはどうだろう?

何もかも上手くいかないで
やる気が起きなくなった人がいたら…
「あいつは今、腐っている」
と言ってしまうのではなく、
「あいつは今、発酵しているんだよ」
と言って見守ってみる。

その後、月日が経てばきっと
いいことが起こるはず。
そんな気が、しないだろうか?

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