佐藤延夫 09年6月6日放送

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アントニオ・ストラディヴァリ                

いつからか私たちは、
呼吸するかのように電気を使い
携帯電話に縛られ、
パソコンに囲まれ、
毎日を生きている。

だからこそ、この音色を耳にすると
無類の喜びを感じるのでしょうか。

アントニオ・ストラディヴァリ。
彼の手掛けた数々の楽器は
今もなお音楽の世界を支配しています。

そうか。
21世紀になっても
私たちは、ルネサンス時代の技術を超えられないんだ。

そう思うと、なんだか痛快ではありせんか?

今日、6月6日は、楽器の日です。

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ジャクリーヌ・デュ・プレ                  

ジャクリーヌ・デュ・プレ。

天才と呼ばれたチェリストは
わずか42歳で、その生涯に幕を下ろしました。

彼女が亡くなった翌年、
透き通るような白い花を咲かせるバラに
こんな名前が付けられています。

ジャクリーヌ・デュ・プレ。

伝説になり、花にもなった、チェリスト。

今日、6月6日は、楽器の日です。
習い事は6歳6ヶ月の6月6日から始めると上達する。
そんな言い伝えがあります。

ジャクリーヌが音楽の道を志したのは、
ラジオでチェロの演奏を聴いたとき。

まだ4歳でした。

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ジネット・ヌヴー                   

情熱を音に変えるヴァイオリニスト、ジネット・ヌヴー。
ある人は、彼女の演奏を聴いて、こんな言葉を残しています。

ジネットは、聴く者を催眠にかける。
   だから聴衆たちは思わず信じてしまうのです。
    この曲にはこの解釈しかあり得ない、と 

それもそのはず、まだ10歳のころ
ジネットは、ヴァイオリンの先生に言いました。

わたしは、自分が感じたようにしか、弾けません

今日、6月6日は、楽器の日。

たまには、思うまま楽器を演奏してみませんか。
ジネットのように、自由に。

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ディヌ・リパッティ                      

誰かが、彼のことを、地上の天使だと言いました。

どこまでも透明で、
繊細で、完璧なメロディ。

ルーマニアが生んだピアニスト、ディヌ・リパッティの演奏です。

優れた曲に対しては、尊敬ではなく、愛しなさい

そんな言葉を残し、33歳の若さでこの世を去りました。

今日、6月6日は、楽器の日。

しばらく、この音色に身を任せましょうか。
彼の紡ぎ出す愛を感じながら。

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マルセル・モイーズ     

水曜日にコンサートが終わると、
車を飛ばし、木曜日の朝には580キロ離れたジュネーブへ。
その日の午後は生徒たちのレッスンに費やし、
夜になればまたパリに向かう。
金曜日、朝9時のリハーサルに辛うじて間に合う。

フルートの巨匠と言われる
マルセル・モイーズは、教育にも情熱的でした。

いや、独創的と言うべきでしょうか。

この言葉を聞けば、彼がいかに魅力溢れる指導者だったか、わかります。

メトロノームを、朝食のメニューに加えなさい

今日、6月6日は、楽器の日です。

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ジョージ・ルイス                      

クラリネットは、歌うものだったんだ。

ジョージ・ルイスの演奏を聴くと、そう思えてきます。

1963年に初来日。
本場のニューオリンズ・ジャズが、日本人を熱狂させました。

のちに彼は、若いミュージシャンに、こんな言葉を残しています。

Keep playing. とにかく演奏し続けることさ

今日、6月6日は、楽器の日。

もしも、むかし諦めた楽器がそばにあったら、
もう一度、触ってみませんか?

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アマティの行方                       

コントラバス奏者で、のちに指揮者になったセルゲイ・クーセヴィツキー。

どこのオーケストラにも属さない、
コントラバスのソリスト、ゲーリー・カー。

64歳も離れた
このふたりを結びつけたのは、
コントラバスの名器、アマティでした。

ある日、ゲーリーの演奏に感動したセルゲイの未亡人は、
亡き夫のアマティを譲ります。
第一線から退くまで、ゲーリーは、その名器だけを使い続けました。

今日、6月6日は、楽器の日。

名人に愛された楽器は、愛すべき者に渡り、また愛されていく。

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