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2010 年 3 月 のアーカイブ

江口順也 10年03月14日放送



前田利常


能ある鷹は、爪を隠す。

しかし、その男は、
逆に、あるものを思いきり見せつけた。

鼻毛である。

人呼んで、鼻毛の殿さま。
前田利家の息子、利常。

加賀100万石の跡目を継いだ彼は、
長さ一寸、3センチもの
鼻毛を伸ばしてバカ殿を演じ、
隙あらばお家を潰さんと目論む
徳川家の警戒心をかわし続けた。
その裏、きめ細やかな政治を行い、
加賀藩はさらに百年のにぎわいを見せる。

能ある鷹は、鼻毛を伸ばした。

その1本1本に、
プライドと覚悟を秘めて。




手塚治虫


ベレー帽に破顔の笑みをたたえた
あの写真からは、
とても想像がつかないけれど。

神様はいつも怯えていた。

手塚治虫。
マンガの神様。

揺るぎない名声を築いてからも、
たえずライバルを警戒し、
弟子の才能に嫉妬し、若手の台頭に、
頭をかきむしったという神様。

あるとき、いちばんの敵と睨んでいた作家が
不慮の死を遂げた日のことを、
後に彼は、ざんげを込めてこう告白している。


 あぁ、ホッとした。
 なんと情けない俺だろうと、
 つくづく嫌になった。


ある学者の論文によれば。
人間の才能開発にもっとも効く劇薬は、
「劣等感」だそうだ。




高杉晋作


世が世なら、
パンクロッカーにでも
なっていたのだろう。

男は、折り畳み式の三味線を
戦場を持ち込んで、
唄など口ずさみながら、
何度も巨大な敵に刃向かい、
たてついた。

幕末の空気は、歴史の中のことでしかないけれど。
彼が残した、ただこの一言が、
僕らにリアルな勇気をくれる。


 おもしろき こともなき世を おもしろく
 高杉晋作





アンディ・ウォーホル


60年代の始まりに、
だれもが何かの予感を抱いていたころ。
若きウォーホルも、
みんなに聞いて回っていた。

ボクは、何を描くべきだと思う?

尋ねても尋ねても答えは見つからない。
来る日も来る日もキャンベルのスープを飲み、
TVを見て過ごした。

そんなある日、ふと気づくことになる。
生み出すものなんて、何もない。
ならいっそ、すべてを消費してしまおうと。

そして数年後。

世界中のオシャレピープルが、
そのへんのゴミ箱にありふれたコーラの瓶や、
スープの缶が描かれた絵を、壁に貼るようになった。

みんな、ウォーホルのこのセリフに
ころりとやられてしまったんだ。

大統領だって、リズ・テイラーだって、
コカ・コーラを飲んでいるんだ。
考えてもごらんよ、
そのコカ・コーラをきみも飲むことができるんだぜ。




エリック・クラプトン


そのインタビュアーは大胆にも、
エリック・クラプトンに2度同じ質問をした。

ギターの神様と呼ばれる気分は?

30歳だったクラプトンは、
こう答えた。


 ボクを神だなんていう言い方は、
 神を冒涜しているよ。


さらに、30年後のクラプトン。
今度はこう答えた。


 うれしいよ、
 ボクにも少しは良いところがあるってことだからね。


神は、ひとつの真実を示された。

一流の人ほど、
謙虚であるということを。

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山口千乃 10年03月14日放送



The smiths


ひきこもりの青年を
部屋から引っ張りだすのに、
あなたなら、どう声をかけるだろう。

ロンドンの曇り空の下、
一年中、家にこもっていたモリッシーを
ギタリストのジョニー・マーは、
こんなふうに誘った。


いっしょに世界を変えようぜ。


やがて、ロック界のカリスマとなった彼ら、
the smithsといえばご存知の通り。

ほら、世界は変わった。




石村僐悟・一枝夫妻


お返しがないなんて、おかしい。

女性たちの声に応えて
ホワイトデーを考えついたのは、
ある夫婦が営む和菓子屋さんでした。

礼には礼で返す。

ホワイトデーには、
和の心が込められています。

今日、あなたは返しましたか。

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小山佳奈 10年03月13日放送

01-yukio

三島由紀夫の酒


当代の流行作家が
新宿や浅草の居酒屋で
文学談義に花を咲かせていた頃。

そんな連中には見向きもせず
銀座の高級ホテルやクラブのバーで
グラスを傾けていた作家がいる。

三島由紀夫。

彼のお酒は
その生き様のように
一分の隙もない。

飲みにいく時はもちろん正装。
決して酔いつぶれることはなく
12時には執筆のために家へ帰る。

三島の美学は
酒をも支配する。



02-kusanoshinpei

草野心平の酒


蛙の詩人、草野心平。

ゲコゲコと鳴くカエルとは対称的に
本人は下戸どころかお酒が大好き。
ついには自ら居酒屋を開いた。

ただ、そこは詩人。
お品書きも一味違う。

ほうれん草のおひたしは「黒と緑」。
豚のにこごりは「冬」。
特級酒はてっぺんの「天」。
二級酒は「火の車」。

心平さんにかかれば
言葉だって酒の肴。

「じゃぁ今日は
黒と緑と火の車。」

ほら、
もう詩ができちゃいました。



03-hoshi

星新一の酒

SF作家、星新一。

彼はひとたびお酒を飲むと
その上品な佇まいからは想像もできないほど
ブラックな冗談を矢継ぎ早にくり出す。

小松左京はあまりに笑い過ぎて
いつもお腹が筋肉痛だった。

しかし次の日。
あれほど腹を抱えて笑った毒舌を
一緒にいた人間は誰も覚えていない。
きれいさっぱり忘れている。

なるほど。

アルコールは
「消毒」ですから。



04-nakajo

中上健次の酒


新宿ゴールデン街。
作家仲間が一杯やっていると
ガラリとドアが開いて
どすのきいた声が響き渡る。

「おまえのこの間の原稿、
 なんだあれ。」

大きな体から放たれた気は
小さな店を一瞬にして埋めつくす。

文学界の異端児、
中上健次。

誰かれかまわず議論をふっかける。
他人の新聞小説には勝手に赤字を入れる。

それでもみんな
中上のことが大好きで
なじられるのを承知で
足を運んでしまう。

ガラリ。

今でも夜のゴールデン街には
中上の威勢のいい声が
聞こえてきそうな気がする。



05-akatsuka

赤塚不二夫の酒


赤塚不二夫といえば、お酒。
お酒といえば、赤塚不二夫。

生来の酒飲みかと思いきや
お酒を飲み始めたのは
漫画家になって8年も経った頃。

トキワ荘時代は
酒を飲むより映画を見る
人一倍まじめな青年だった。

まじめにギャグ漫画を描き
まじめに酒を飲んだ。

そうしたら
ギャグ漫画は超一流の芸術になり
下戸は超一流のよっぱらいになった。

赤塚先生。

今ごろ天国では
少し早い花見酒でしょうか。



06-ozu

小津安二郎の酒

映画監督、小津安二郎。

彼は脚本家とともに
別荘にこもっては
映画の構想を練った。

かたわらには
蓼科の銘酒、
「ダイヤ菊」。

一升瓶100本で
映画を一本。

どうりで。
小津映画には
おいしそうに徳利を傾ける
シーンの多いこと。

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五島のはなし 番外



ななな、なんだ、これは。
寿司ネタの巨大さはいかにも大阪風だし
ガジュマルみたいな根っこだらけの木は
南の島みたいだし。
どこの国だろう、ここは(玉子)

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山本高史のラジオと新聞の日



東京新聞

上は今朝の東京新聞。
下は本日午後のJ-wave

◉J-WAVE【FM 81.3 】
3月9日(火)14:30~14:40
WONDERFUL ESSENCE(ワンダフルエッセンス)
http://www.j-wave.co.jp/original/rendezvous/essence/

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細田高広 10年03月07日放送



マティス


 私が緑でえがくとき、
 それは草を意味しない。
 青く塗っても、
 空を意味するとは限らない。


色彩の魔術師と呼ばれた、
アンリ=マティス。

見える色を使わず、
見たい色を使った彼の絵画は、
まぶしいほどに鮮やかだ。

マティスの作品を見た医者は
本気で忠告したという。


 サングラスをかけた方がいい。


マティスの絵画に対する、
最高の批評だと思う。









ハンター・S・トンプソン


ジャーナリストは、客観的に語るべし。

ハンター・トンプソンは、
そんな常識をひっくり返した男。

犯罪集団への取材では、
1年にわたって共に行動。
犯罪にも加担し、
最後はボコボコに殴られて逃げ出してくる。

取材というより実体験をもとに書いた記事は、
主観と脚色だらけ。まるで小説だ。

だが、彼は言う。


 小説が、フィクションより真実を語ることがある。


当事者だけが分かる感情。
当事者だけが知る空気。

この世界には、「事実」だけ並べても伝えられない、
「真実」がある。





ミシェル・プラティニ


黒人はフランスで
サッカーをするな。

移民のサッカー選手が
活躍し始めたとき、
フランス国内で上がった声だ。

それを、ある選手の一言が黙らせる。


 サッカーに人種はない。
 下手な白人ほど黒人を差別する。


フランスのスター選手だった、
ミシェル・プラティニ。

彼が引退して、約10年後の1998年。
フランス代表はワールドカップで
初優勝を飾る。

喜び抱き合う選手たちの肌の色は、
実に多様だった。

アフリカ大陸初の
ワールドカップまで、
あと3ヶ月。

チームの絆が、
人種の壁を越える。
もうひとつの闘いに注目したい。





クインシー・ジョーンズ


スリラー。愛のコリーダ。
クインシー・ジョーンズの手がけた音楽は、
聴けばたちまち耳に残る。
だが、いつまでも飽きさせない。

曲づくりの秘訣について、彼は言う。


 女性と同じで、2、3日暮らしてみれば分かるんだ。


1日中聞いたとしても、
翌朝起きて聴きたくなれるかどうか。
もしダメなら、その曲とはきっぱり
別れるのだそうだ。

私生活では3度結婚し、
7人の子どもがいる、恋多き男。

クインシーの音楽の先生は、
恋愛だったのだ。





渋沢栄一


日本における資本主義の父、
渋沢栄一は言った。


 機械が運転しているとカスがたまるように、
 人間もよく働いていればカネがたまる。


人の役に立っていれば、お金はついてくる。
そう考えていた渋沢は、
500以上の会社を設立しながら、
多くの社会活動にも関わる。

日本赤十字社を設立し、
養育院の院長を務め、
関東大震災の際には復興の指揮をとった。

その生き方を見ると、気付かされる。
ビジネスと社会貢献はそもそも同じ意味。
人に役立つためのこと。

企業の「社会貢献活動」、
なんてわざわざ表明する風潮は、
どこかおかしいかもしれない。





ムンク


絵画「叫び」で有名な、ムンク。
彼は女性運が悪かった。

最後の彼女には
「結婚しなければ自殺してやる」
と銃を片手に脅される。
もみ合いの末、大切な指を一本失った。


 愛を炎に喩えるのは、正しい。
 炎と同じで
 山ほどの灰を残すだけだから。


恋愛に懲りたムンクは、事件以降、
女を「恐怖」や「死」のモチーフに選び
何枚もの絵画を描く。

ムンクの恋の燃えカスは、
灰なんかじゃない。
芸術だったのだ。





ジミ・ヘンドリクス


天才ギタリスト、
ジミ・ヘンドリクス。

もっと速く弾ける人も、
もっと正確に弾ける人もたくさんいる。
この場合の「天才」とは、
技術のことじゃない。


 ブルースは簡単に弾ける。だが、感じるのは難しい。


ジミヘンだけが感じていた
100%のブルース。
100%のグルーブ。

最先端の技術と機材を揃えた今でも、
未だ人類は追いつけない。



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熊埜御堂由香 10年03月06日放送

01-paul

道具のはなし ポールボキューズの鍋


「私の料理の秘訣がひとつしかなかったとしたら、
 それはこの美しい道具だろう」


フランスのリヨンで腕をふるう
84歳の現役天才シェフ、ポールボキューズ。
彼は料理へのこだわりから、鍋までつくってしまった。
工業の街、アルザスで、
祖父の代から台所用品店を経営していた、
フランシス・ストウブ氏と開発した、分厚い鉄の鍋だ。

45年間、ミシュランの3つ星を
維持しつづける彼のそばに、
今日もこの武骨な鍋はどっしり座っている。






02-chieko

道具のはなし 智恵子の千代紙


こころの病に苦しんだ、高村光太郎の妻、智恵子。
光太郎は彼女に、気分転換の道具に千代紙を渡した。
智恵子はたちまち紙絵に夢中になる。
食膳がでると、皿にのる食材を紙絵でつくらないうちは
箸をとらないほどだった。
できあがると、恥ずかしそうな、うれしそうな顔で、
光太郎に差し出した。

智恵子の残した千点以上の紙絵に、光太郎は言った。

 これらは、智恵子の詩であり、
 生活記録であり、此世への愛の表明である。


妻の千代紙は、夫と心を交わす道具となった。



03-hikaru

道具のはなし 恋する道具

ひとは不器用だから、
恋をするにも、道具がいります。
いまは、メール。昔は手紙。

プレイボーイの元祖、光源氏は、
先立たれた妻からの恋文に、
歌を書きつけて、泣きながら燃やしました。

大切にとってあった手紙と妻への思いが
一筋の煙になって天へ届くように。
そんな思いをこめた読まれた歌のしめくくりは、

 おなじ雲居の煙とをなれ
 (おなじくもゐの けぶりとをなれ)


メールは燃やすこともできないし、
下駄箱にいれることもできません。
恋する道具としては、手紙が一枚上手のようです。

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石橋涼子 10年03月06日放送

04-fuji

藤山寛美の岡持ち


アホを演じることにかけては天才と言われた
役者、藤山寛美。

彼が舞台裏で片時も手放さなかった道具は
岡持ちだった。
化粧道具からタバコやのど飴まで、
舞台に立つための必需品がすべて詰まっていた。

役者と名乗ることにこだわった彼の言葉がある。

 わしは、俳優やあらへん、役者や。
 俳優の俳の字は、人に非ずと書くやろ。
 芝居には役者の人間性が出るもんや。
 そやから、わしは、人間を演じる、役者や。


彼の中には、人のおかしさや愛しさや、悲しさまでも。
人間を演じるための必需品が
ぜんぶ詰まっていたに違いない。



05-mikimoto

道具のはなし 御木本幸吉の矢立


道具の使い道は、ひとつではない。

うどん屋から始まり、青物、米、海産物を経て
真珠の養殖で財をなした商人、御木本幸吉。
彼は常に「矢立」を腰にさしていた。
ボールペンが普及し始めた時代に、
墨つぼと筆を携帯するための矢立は、
もはや消えゆく道具だ。
彼は、そんな矢立を愛用する理由をこう語った。

 「武士の刀」のように、矢立は「商人の魂」だ。

と。
実際は、新聞社などマスコミが
矢立の物珍しさを面白がって紹介することが多く、
御木本の良い宣伝道具になっていたという。

商人は、道具の使い方も、さすがです。



06-carlyle

道具のはなし カーライルとフランクリン

イギリスの評論家、
トーマス・カーライルは
 人間は、道具を使う動物である
と言った。

ベンジャミン・フランクリンは
 人間は、道具をつくる動物である
と言った。

私はどうだろう?
近ごろ、道具を愛でる動物、
になってはいないだろうか。

ケースに入れたままのとっておきのグラスを出して
今夜は一杯、やってみようと思う。

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ライブの音声こちらから








Tokyo Copywriters’ Street ライブの音声
こちらから聴けるようになりました(玉子)

http://01-radio.sakura.ne.jp/guild/past/live03.php

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8月にほめられていた

J-waveのリスナーを代表するグループのブログで
発見しました。

そうか、半年前にほめられていんですね。
ちっとも知りませんでした。
下に引用しときます(玉子)


  J-WAVEの番組のなかで、
  ほんの2、3分の放送で心をつかまれるものがあります。

  「VISION」
  土日の16時台から23時台までの毎時55分ごろに
  放送されているプログラム。

  文字数でいえば、150〜300文字くらいで切り取った
  古今東西の様々な人物の姿、思想、言葉、足跡が、
  VieVieさんの声と音楽に乗せて、
  ラジオから流れてきます。

  余計なものが削ぎ落とされた言葉は心に残る。
  VISIONのコピーライターの方は
  とても素敵だなぁと毎回思います。

  そのなかでも、
  今年の春に、私の心に深く残ったものがあります。

  それは「島崎藤村」の「初恋」を引用した後に、
  流れてきた言葉。

 
  「恋は、人に人生の喜びを教えるが
   同時に癒えることのない悲しみも刻みつける。

   気がついたら、春になっていました。
   恋をしましょう。」
  
  (VISION 4月12日放送 中村直史さん)


  恋の喜びと、悲しみと。
  それでも、恋をしましょう、と。

  素敵。

  気づいたら、夏になっていたね。
  私の大切な友だちに贈ります。



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