蛭田瑞穂 12年10月13日放送



食べる作家⑦谷崎潤一郎

谷崎潤一郎は日本橋の蛎殻町で生まれ育った。
当時、蛎殻町から人形町にかけての一帯は
洋食、中華、寿司、鳥鍋など、
さまざまな料理店が軒を並べる
東京随一の食の界隈だった。
そんな町で育ったからか、
谷崎の食に対する興味は旺盛だった。

奇怪奇天烈な創作料理が次々登場する
『美食倶楽部』という小説も書いている。

そんな谷崎を三島由紀夫は次のように評した。

 氏の小説作品は、何よりもまづ、美味しいのである。
 凝りに凝つた料理の上に、
 手間と時間を惜しまずに作つた
 ソースがかかつてをり、
 ふだんは食卓に上らない珍奇な材料が賞味され、
 栄養も豊富で、
 人を陶酔と恍惚の果てのニルヴアナへ誘い込み、
 生の喜びと生の憂鬱、活力と頽廃を同時に提供する。

谷崎の小説の、官能的な理由がよくわかる。

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