佐藤理人 13年1月12日放送


Cea.
フランシス・ベーコン⑦「人生のギャラリー」

恋人が死んだとき、画家は喝采の中にいた。

1971年パリ。20世紀を代表する画家、
フランシス・ベーコンの大展覧会。
その記念すべき初日、
彼の恋人ジョージ・ダイアは自ら命を絶った。

 みんな死んでいく
 まるでハエのように

人生の冷徹なギャラリーである彼にとって、
心を病んだ恋人の姿は絶好の観察対象だった。

観察することは距離を置くことだ。

絵を描くときも、生身のモデルではなく
モデルを撮影した写真でデッサンするほど、
被写体を寄せ付けなかったベーコン。

彼の心の扉を開けない無力感が、
ダイアに死を選ばせたのだろうか。

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