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2014 年 8 月 24 日 のアーカイブ

岡安徹 14年8月24日放送

140824-01 KentaroIEMOTO@Tokyo
高嶋仁が見た夢

照りつける太陽、立ち上る陽炎。
全国の高校球児たちが、まさに熱闘を繰りひろげる甲子園。
強豪と言われるチームには、名将とよばれる監督の存在がある。

智弁和歌山を率いる監督、高嶋仁(たかしまひとし)はかつてこう言った。

「苦しい思いをした人間だけが逆境をチャンスに変える」

今年、智弁和歌山は惜しくも甲子園出場を逃してしまった。
しかし、彼らはこの悔しい思いを糧に強くなるだろう。
もう、その目は次の夏を見ているのだから。


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岡安徹 14年8月24日放送

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青木秀憲が見た夢

東京の名門、開成高校。
かつて同校野球部は、データと理論を駆使した
独自のセオリーを用い、東京大会ベスト16という好成績を残した。

彼らが掲げた勝利の方程式は、
「ドサクサにまぎれて勝つ」という独創性あふれるもの。

チームを育てた知将青木秀憲監督は言う。

「野球は大いなる無駄。無駄だからこそ
 思いっきり勝ち負けにこだわってやろう」


強豪校と比べ、体格や技術に差があることを認めつつ、
それでもなお勝ちにこだわることを学んだ球児たち。
勝つことにこだわった3年間に、無駄なところなど一つもない。


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渋谷三紀 14年8月24日放送

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江戸川乱歩が見た夢

 現世(うつしよ)は夢。夜の夢こそまこと。

数々の推理・怪奇小説を世に送り出した
作家、江戸川乱歩のことば。

子供のころから極度の人間嫌いだった。
生きることは妥協と言い放つほど厭世的だった乱歩は、
自作の出来を恥じて、人生で三度も休筆した。

五十を前に別人のように明るい性格になったというが、
「孤島の鬼」「陰獣」などの代表作を生み出したのは、
皮肉にもネガティブ全盛の時代。

内へ内へと向かう力こそが、
乱歩の創作を飛躍させる原動力だった。




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渋谷三紀 14年8月24日放送

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コナン・ドイルが見た夢

作家コナン・ドイルによって生み出された
探偵シャーロックホームズは、
シャーロキアンと呼ばれる
世界中の熱狂的ファンから支持されている。

最終回として書いた「最後の事件」で
ホームズを滝つぼにつき落としたドイルのもとには
悲嘆にくれるシャーロキアンたちから、
抗議の手紙が押し寄せたという。

根負けしたドイルは、
続編「バスカヴィル家の犬」で
ホームズを復活させる。
その瞬間、作家の意志をこえて、
ホームズは、一人歩きをはじめた。


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高田麦 14年8月24日放送

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トーベ・ヤンソンが見た夢

日本ではかわいらしいキャラクターで知られている
ムーミンの物語は、実はかなり大人向けだった。

物語は、
トーベ・ヤンソンの手によって、
戦争中にフィンランドで生まれた。

次の言葉は、ムーミンママが、ムーミンに投げかけるものだ。

 さあ、あしたもまた長い、いい日でしょうよ。

 しかも、はじめからおわりまでおまえのものなのよ。

 とてもたのしいことじゃない!

ムーミン谷の物語に一貫しているテーマ。
それは、目の前のささやかな幸せは当たり前にあるとは限らない、
ということ。

隣のロシアやスウェーデンなどの強国に
脅かされ続けた小さな国で生まれ育った彼女は、
日常のささやかな幸せこそが夢だと知っていたのだ。


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高田麦 14年8月24日放送

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アルヴァ・アアルトが見た夢

19世紀末に生まれたフィンランドを代表する建築家、
アルヴァ・アアルト。
若い頃は、当時のグローバルな潮流であるモダニズム建築に
必死に食らいつこうとした。

しかし、結局、彼はこんな概念にたどりつく。

 「建築とそのディテールは、ある意味、生物学に属する。」
 「世界中で最もすぐれた規格化委員会は“自然界”である。」

そしてアアルトは、
木材と曲線を特徴とする、フィンランドの自然と風土に根差した
人間が暮らしやすい建築を数多く残した。

ごく普通の人たちのためにこの世のパラダイスを作り出したい
というのが、彼の夢となったのである。


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高田麦 14年8月24日放送

140824-07 mueredecine
アキ・カウリスマキがつくる夢

アキ・カウリスマキは、
社会では陽の当らないひとたちにスポットライトを当てる。
彼の映画を最初に見ると、誰もが面喰うだろう。

登場人物はみな無表情、
極限までそぎ落とされた台詞、
独特の間。

主人公はだいたい徹底的に不幸な目に遭う。
だけれど、そこかしこにただようユーモア。
弱者を弱者としてそのまま認めることが、救いになる。
作り手であるカウリスマキの、圧倒的にやさしいまなざし。

一貫して弱者を題材にする彼はこう言う。

「映画とは、一日一生懸命働いた人がその日の終わりにリラックスし、
楽しむために観るエンターテインメントだ」

彼の映画は、労働者の労働者による労働者のための、
つかの間の夢なのである。


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