2015 年 1 月 のアーカイブ

茂木彩海 15年1月25日放送

150125-06
はじまりのはなし 柴田元幸

アメリカ文学の研究者、柴田元幸は
書き出しだけをあつめ、自ら新訳を行った世界文学全集の中で、
あの有名な物語のはじまりを、こう訳した。

 私は猫だ。いまのところ名前はまだない。

ひとことで、世界が決まっていく。

だからこそ、物語のはじまりに
作家の力は注がれる。


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小野麻利江 15年1月25日放送

150125-07
はじまりのはなし キケロにとっての「はじまり」

新しい1年が、また始まった。

先行き不透明な、今日このごろ。
目標は心の中にあるけど、
カタチにできる自信が無い・・・
そう尻込みする人たちに、

古代ローマの哲学者、
キケロの言葉を贈りたい。

 始まりは、どんなものでも小さい。



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小野麻利江 15年1月25日放送

150125-08 armycat
はじまりのはなし 野矢茂樹の「はじめて考えるときのように」

あなたが生まれてはじめて
「考える」という行為をした時、
頭の中には、どんな景色が浮かんでいただろう。
目の前の世界は、どのように映っていただろう。

哲学者の野矢茂樹の著書に、
『はじめて考えるときのように』という本がある。
副題は「『わかる』ための哲学的道案内」。
それは、考えるということについて、考える本。

中学生くらいの子どもに寄り添うような
優しいまなざしでつづられた文章の中で語られるのは、
私たちの考えが日頃、いかに多くの「当たり前」や
「見えない枠」にしばられているかということ。

そして、ヒト・モノ・コト、出会ったすべてを
頭につめこんで、ゆさぶったのち、空っぽにする。
そのくり返しこそが、「考える」ことではないかと
野矢は言う。

本当に「考える」ということ。
それはきっと、はじめて考えるときのように、考えること。



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渋谷三紀 15年1月24日放送

150124-01
「一」番手の背中/柳本晶一監督

女子バレーボールの柳本晶一監督。
シドニー五輪で13位と
史上最低順位にいたチームを、
次のアテネ五輪で五位にまで引き上げた。

柳本監督のあきらめない力は、
現役時代に育まれた。
天才セッター猫田勝敏の二番手に
甘んじ続けた悔しさだ。

柳本は言う。
「技術では自分が勝っていた。」
しかし、
「猫田には人間力があった。
猫田の上げたトスを打ってやるんだ。と、
ストライカーに思わせる力があった。」

二番手から見た一番手の背中が、
いちばん遠い。
しかし、その悔しさ以上に、
二番手を成長させるものは、ない。


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渋谷三紀 15年1月24日放送

150124-02 t-miki
「一」瞬で見えるもの 高倉健と岡村隆史

日本アカデミー賞授賞式。
そうそうたる俳優陣に混じり、
話題賞を受賞し壇上に立った、芸人岡村隆史。

「高倉健さんみたいな俳優になりたいです。」
周囲から失笑が起こり、
すべった…と岡村が思った瞬間、
客席から拍手が聞こえた。
そこにいたのは、高倉健そのひと。

「健さんのおかげで、会場が明るくなった。
助けていただいた。」
と、岡村はいまでも深く深く感謝している。

たった一瞬で、
人間の器の大きさが、見えてしまうことがある。
そこで見えるものは、おそらく、正しい。


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宮田知明 15年1月24日放送

150124-03
「1」にまつわる関係

「今日の1分を笑う者は、明日の1秒に泣く。」

これはイギリスの政治家、
フィリップ・チェスターフィールドの名言。

少しの時間でも大切にしなさい、という格言であるが、
日本にも、似た意味のことわざがある。

「一円を笑うものは、一円に泣く。」

時間とお金、別の概念ではあるが、本質的な考え方は同じ。
時間とお金とは、浪費されがちなものの代表のようだ。

そして、お金と時間の関係で言えば、古くからこんな言葉もある。
Time is money.(時は金なり)

時間とお金、両方を大切にするのは、人間の永遠のテーマかもしれない。


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宮田知明 15年1月24日放送

150124-04 miguel77
「1」対「1」

1対1。

チームプレーのスポーツにおいても、
時として個人同士の能力のぶつかり合いを見ることができる。

ポルトガルの名サッカー選手、ルイス・フィーゴは、
その卓越したドリブル能力への自信から、

「1対1になったら勝負しないわけにはいかない。
 なぜならオレはドリブラーだからだ」と言った。

バスケットボールのマンガ、「スラムダンク」では、
ずば抜けた個人能力を持つ流川に対し、ライバルの仙道は言う。

「1対1もオフェンスの選択肢のひとつにすぎねえ。
 それがわからねえうちは、おめーには負ける気がしねえ」

チームプレーを大切にするからこそ、個人能力が生きるのだ、ということ。

1対1か、チームプレーか。いずれも、正しい考え方のように思える。
あなたはどちらの考え方が、好きですか?


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中村直史 15年1月18日放送

150118-01 japanesefilmarchive
はじまりの言葉/増村保造(ますむら やすぞう)

フェリーニやヴィスコンティに学び、
斬新な演出で戦後の日本映画に
新風をふきこんだ映画監督、増村保造。

日本的な情緒や雰囲気を嫌い
個人が発する「自我」を強烈に描きつづけた。

登場人物が強烈なら、演出方法も強烈。

死へと疾走する遊郭の女性を描いた「曾根崎心中」。
ヒロインの恋人役を演じた宇崎竜童に対する
撮影開始の合図は

「よーい、強く喘いで死ぬ気で、スタート!」

だったという。


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中村直史 15年1月18日放送

150118-02 serakatie
はじまりの言葉/リチャード・バック

何十年も生きてきて、
毎年、年の初めには、抱負のようなものも考える。

けれど、わからないのである。
一年一年、抱負が自分を成長させたのか。

むしろ、抱負負けして、
毎年どんどんダメになっているのではないか。

それでも、と「かもめのジョナサン」の作者
リチャード・バックは言います。

 やっぱり自分の歌をうたい続けることだと思うね。
 思いわずらい、駆けずり回りながらでも
 自分の歌だけはうたい続けるわけだ。


2015年、
あなたの歌を大きな音で聴きたいです。


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三島邦彦 15年1月18日放送

150118-03 santiagodn
はじまりの言葉 安田登(やすだのぼる)

新しい年のはじまりとともに、
何かを決意する人は多い。
しかし、そうした思いのほとんどは、
日常に押し流され、
どこか遠くへ消えていく。

能楽師、世阿弥が語った
「初心、忘るべからず」という言葉。
その意味について、
古代文字の研究者でもある能楽師、安田登はこう語る。

 初心の「初」の字は「衣」と「刀」です。
 着物をつくるときに、
 布地に最初にはさみを入れること、それが「初」です。
 着物をつくるときには、それがどんなに美しい生地であっても、
 そこにはさみを入れなければつくれない。


世阿弥が語った、初心。
その言葉にはもともと、
自らの過去に切れ目を入れ、変化を起こす強い心や、
過去と決別する、変化への切実な思いがこめられていた。

さあ、あらためて、
今年の初心はいかがですか。



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