2015 年 8 月 2 日 のアーカイブ

蛭田瑞穂 15年8月2日放送

150802-01 Hambear
夏を感じる① サーファー・ムーン

ビーチボーイズのリーダー、ブライアン・ウイルソンは海が苦手だった。
サーフィンの経験もない。

それでもブライアンはレコード会社の要請で
サーフ・ミュージックをつくることを余儀なくされた。

3作目のアルバム『サーファー・ガール』に収められた『サーファー・ムーン』。
サーフ・ミュージックとしては異例の、管弦楽器を用いたスローバラード。
歌われるテーマも太陽ではなく月。

サーフィンをやらないブライアン・ウイルソンだからこそ
創造することのできた、オリジナルな世界がそこにはある。


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蛭田瑞穂 15年8月2日放送

150802-02 Bogda
夏を感じる② ユア・サマー・ドリーム

ビーチボーイズの3作目のアルバム『サーファー・ガール』に
収められたバラード『ユア・サマー・ドリーム』。

この曲で歌われるのはある青年の夏の一日。
女の子を誘って海まで行き、手をつないで浜辺を歩くが、
思いを打ち明けるタイミングを逸したまま、やがて陽は沈む。

歌詞はこう結ばれる。

 Time has come for you to show your love
 Make it real, your summer dream
 さあ彼女に愛を伝えるんだ
 君の夏の夢を叶えるんだよ


カリフォルニアの明るいバンドと思われがちなビーチボーイズだが、
リーダーのブライアン・ウイルソンが描く世界は
そんなイメージに反してほろ苦く、切ない


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蛭田瑞穂 15年8月2日放送

150802-03
夏を感じる③ サーファー・ガール

ビーチボーイズ3作目のアルバム『サーファー・ガール』。

海やクルマといったテーマは前作までと変わらないが、
複雑なコーラス・アレンジ、斬新なコード進行、
無駄のないサウンドデザインなど、音楽面では飛躍的な成長が見られる。

このアルバムでリーダーのブライアン・ウイルソンは
初めてプロデューサーも兼ね、
以来、その天才的な音楽の才能を開花させていく。

『サーファー・ガール』についてブライアン・ウイルソンはこう述べる。

 才能を認められたい。敬愛されたいという猛烈な願望から、
 徹底した完全主義を貫いた。すぐに暴君という評判が広まったけど、
 最高を、完璧を求めた。その結果、ビーチボーイズにとって初めての、
 本当にいいアルバムをつくることができたんだ。



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森由里佳 15年8月2日放送

150802-04 芥川千景
夏を感じる④ 風鈴職人 関根久雄

風たちの歌声のような「ちりんちりん」という音色は、
日本人のこころに涼を与えつづけてきた。

しかし、
静岡県三島市の風鈴職人、関根久雄は、
本当に感じてほしいのは音色ではないと言う。

彼が目指すのは、自己主張しすぎない音を持つ風鈴だ。

その理由をこう語る。

「風鈴が鳴って、感じて欲しいのは涼しさです。
風鈴が鳴ると、あ、風が吹いているなと感じてもらいたい。
音が大きすぎると、風鈴自体の主張が強くなりすぎて、
 (中略)涼しい風がイメージしにくくなってしまいます。」
 
理想の音色をさがすため、
関根は毎年、あくなき試行錯誤を繰り返す。

熱い職人魂が、
涼しい夏をはこんできます。


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森由里佳 15年8月2日放送

150802-05 guyjasper
夏を感じる⑤ 花火師 青木昭夫

花火は、美しい。
しかし、本当に美しい花火とは何か、ご存じだろうか。

日本で最も美しい花火を作ると言われる花火師
青木昭夫さんによると、こうだ。

「花火には火薬粒が約3000個詰め込まれている。
その1粒が1ミリでもずれたら、
そのずれは大空で何千倍にも拡大されて、
花開いた時にどこから見ても球形に見える花火にはならない。
細部にまでこだわる緻密なモノづくりの精神がなければ、
到達できない花火だね」

どこから見ても球形に見える花火。
そこには、芸術としての美しさはもちろん、
花火を楽しみにしている全ての人への思いがつめこまれている。

一瞬のために1ミリの妥協も許さない職人魂は、
日本のモノづくりの未来にも、大輪を咲かせるに違いない。


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森由里佳 15年8月2日放送

150802-06
夏を感じる⑥ 江戸扇子職人 松井宏

京扇子のようなきらびやかさはなく、
キリっと粋な江戸扇子。
骨が少ないからこそ生みだせる強い風に感じるのは、
美しくも頑固な職人芸だ。

平安時代には、貴族の身分をあらわすシンボルでもあった扇子。
今となっては、誰でも簡単に手に入れることができるが、
伝統を守り続けてきた男には、思うことがあった。

無形文化財技術保持者の江戸扇子職人、松井宏だ。


 お宮参りに始まり、七五三、成人式、結婚式、還暦、古稀、葬式…
 扇子と日本人のつながりは一生続くのです。
 だから、扇子は持つ人の人格を象徴するもの。
 少々値段が高くても、本物を使ってほしい。



職人魂が光る江戸扇子。
そこから生まれる風たちはきっと、
持つ人の人生も、乗せてゆく。


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飯國なつき 15年8月2日放送

150802-07 Nyon-Nyon
夏を感じる⑦ 「さとうきび畑」

毎年、夏になると流れる歌がある。

 ざわわ ざわわ ざわわ
 広いさとうきび畑は
 ざわわ ざわわ ざわわ
 風が通り抜けるだけ


第二次世界大戦末期の沖縄戦で戦死した人々が眠る、夏のさとうきび畑。
父を失った少女は、通り抜ける風の音を聞きながら
静かに悲しみを訴える。

戦争を体験した世代にも、しなかった世代にも、
等しく悲しみを感じさせる「さとうきび畑」。
森山良子、ちあきなおみ、夏川りみといった往年の歌手から松浦亜弥まで、
幅広い年代の歌手に歌い継がれ続けている。

きっと、この夏も。


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飯國なつき 15年8月2日放送

150802-08 Dakiny
夏を感じる⑧ 綾部和

2000年に発売された、
大ヒットシミュレーションゲーム
『ぼくのなつやすみ』。

せみの声、虫取り、川のせせらぎ…
ゲーム内の環境音は、すべて実際の現場で収録。
森での収録では、蝶の羽ばたく音すら聞こえる、無音の世界が広がったという。

開発者の綾部和は、ゲームのコンセプトについてこう語る。

 特定の夏休みではなく、
 いろいろな人が経験したであろう
 日本の平均的な夏休みを目指して作りました。
 ですが、『ぼくのなつやすみ』の場合、
 夏休みの後半になると、
 郷愁というか寂しい雰囲気が出てくるんですよね。


徹底的に再現された懐かしさと、ほんの少し、寂しさのスパイス。
100万人以上のおとなたちが、ゲームを通じて、
こども時代の夏休みにひたった。


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