熊埜御堂由香 14年12月21日放送

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クリスマスのはなし  クリスマスのまえのばん

世界中で読まれている絵本、「クリスマスのまえのばん」。
1822年に学者クレメント=ムアが、
イブの日に、自分の子どもへ即興で書いた物語だ。
彼の描いたサンタは実にチャーミング。

 はなは ぷっくり さくらんぼのよう。
 わらいだしそうな くち、まっしろなひげ。

いつもは難しい専門書ばかり書いている学者が、
煙突からドスンと登場するドジなサンタを生みだした。
クリスマスには、誰もが子どもになる魔法がある。

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薄景子 14年12月21日放送

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クリスマスのはなし シークレットサンタ

アメリカでクリスマスになると
貧しい人に現金をプレゼントし続けた伝説の男がいる。

「シークレットサンタ」
そう呼ばれた彼の名は、ラリー・スチュワート。
20代で設立した会社が倒産、
無一文で入ったレストランで食事をし、
財布を探すフリをしていると、店主がラリーにこう言った。
「20ドルを落としましたよ」
ラリーはその20ドル札で
そそくさと支払いを済ませて逃げるように帰った。

店主のはからいに気がついたのは4年後のこと。
その後も会社の設立、倒産を重ねていたラリーが、
自暴自棄になって銀行強盗を働こうとした瞬間だ。
ふと目に入った20ドル札を見て我に返ったラリーは
再びあのレストランを訪れる。
店主はラリーにこう言ったという。

 クリスマスは、みんながハッピーになれるんだよ

それから、ラリーはひたむきに働き、
シークレットサンタとして貧しい人々にお金をプレゼントし続け、
その生涯で1億8000万円もの現金を配ったという。

彼が立ち上げたシークレットサンタ協会の会員資格はただひとつ。

少なくとも1回他人への親切な行為を行うこと。

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薄景子 14年12月21日放送

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[puamelia]
クリスマスのはなし オーレン・アーノルド

クリスマスが近づくと、
街はプレゼント選びでさまよう大人たちであふれかえる。
大切な人が目を輝かせて喜ぶ一瞬を想像して
想いをあれこれめぐらせているあなたに。
アメリカの作家、オーレン・アーノルドの
ことばのプレゼントを贈ります。

 クリスマスプレゼントの提案
 敵には許しを
 競争相手には寛大さを
 友には自分の心を
 顧客にはサービスを
 すべての人に慈悲を
 すべての子どもに良き手本を
 そして自分自身には尊敬の念を

もうすぐクリスマス。
あなたの心と、この世界に
愛が満ちあふれますように。

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小野麻利江 14年12月21日放送

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sparrowsfall
クリスマスのはなし チャールズ・シュルツのクリスマス

スヌーピーの生みの親、
漫画家のチャールズ・シュルツはこう言った。

 クリスマスとは、ちょっとした余分のことを
 誰かのためにしてあげること。

誰かのためのちょっとの余分が、
雪のように積み重なる。
そんなクリスマスになりますように。

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小野麻利江 14年12月21日放送

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SkyD
クリスマスのはなし サイレント・ナイトのルーツ

クリスマスキャロルとしておなじみの
「サイレント・ナイト/清しこの夜」。
1818年のクリスマスの日、
オーストリアのとある村の教会で
ギターを伴奏に、初めて歌われたのがそのルーツ。
教会のオルガンを修理しにきた職人が、
その時の楽譜を写して持ち帰ったことをきっかけに、
ドイツや、海を越えたアメリカへ
一気に広まっていったという。

最初にギターで奏でられたのは、
ネズミが教会のオルガンをかじって
オルガンが壊れたせいだったとか、
メロディがあまりに見事なので
モーツァルトやベートーベンが
作ったのでは、と言われるなど
様々な逸話にも事欠かない
「サイレント・ナイト」だが、

敬虔なメロディで200年近く
聴く人を温かい気持ちにし続けてきたことは、
確かな事実である。

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大友美有紀 14年12月20日放送

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nettsu
「ティファニー」ティファニー・ブルー

ニューヨーク五番街、女性たちが憧れるジュエラー、ティファニー。
クリスマスに、ティファニーのブルーボックスを
プレゼントされるのは、女の子のひとつの夢。

ティファニー・ブルーは、
コマドリの卵の色を表している、とも言われている。
アメリカ東部で、コマドリは「春告げ鳥」である。
暗く長い冬が終わり、ようやくやってくる明るくて暖かな春。
コマドリの卵は、春の喜びの色。

創業者のチャールズ・ルイス・ティファニーの祖先は、
英国から渡ってきた清教徒だった。
開拓をくり返し、新天地を求めて移動を続けた家族の歴史、
苦難の時代をチャールズはよく知っていた。
辛い時代から、穏やかな日々へ至る道のり。
その喜びをよく知っていたのだ。

 ティファニーが送り出すジュエリーは、
 それを手にする人にとって、
 いつも「春の喜び」であってほしい。

美しいティファニー・ブルーには、
そんな願いがこめられている。

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大友美有紀 14年12月20日放送

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Kent-Chen
「ティファニー」ティファニー・セッティング

クリスマスの夜。
キャンドルの灯るテーブルで
ディナーを楽しみながら語り合う恋人たち。
彼氏がそっと差し出したのは、ブルーのボックス。
その中には、ダイアモンド。そしてプロポーズ。
映画や少女漫画に登場しそうなロマンティックなシーン。

ティファニーのエンゲージメントリングは、
シンプルで、だからこそ美しい。
ティファニー・セッティングという
6本爪でダイアモンドを支える指輪。
1886年に創業者のチャールズ・ティファニーが考案した。
それまでリングに埋められていたダイアモンドを
爪で持ち上げ、あらゆる角度から見えるようにデザインした。

 爪はできるだけ小さく
 光はできるだけ取り入れる
 真実の愛にふさわしい
 永遠のシンボル

ダイアモンドの全貌を余すところなく見せる。
それはティファニーの公明正大さを表している、とも言える。
清教徒の理想をダイアモンドを通じて世界に伝えたのだ。

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大友美有紀 14年12月20日放送

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「ティファニー」ルイス・C・ティファニーのギフト

19世紀末アメリカの家庭で一大ブームとなったランプがあった。
シェード部分にステンドグラスの技法を用いた
ティファニー・ランプ。
チャールズ・ティファニーの息子、
ルイス・コンフォート・ティファニーが世に送り出した。

ルイスは、若い頃、画家を目指してヨーロッパへ留学。
その後、ガラス工芸に出会い、
アメリカに戻って工房を立ち上げる。
数多くのステンドグラス作品を手がけ、
玉虫色に輝くファブリルガラスを発明した。
ルイスのデザインには植物や昆虫、風景など、
自然をモチーフにしたものが多くある。
彼は、アメリカのアール・ヌーヴォーの第1人者となった。

その頃、アメリカの家庭には、美しい装飾品はなかった。
ルイスは1点ものの芸術作品を創ることよりも
ガラス製品の事業化に熱意を傾けていく。
花瓶やランプなどの実用品を、手が届く値段で販売したのだ。
 
 私はアメリカの家庭を美的に啓蒙したかった

ただの事業ではなく、美の理想の実現を追求する。
それはルイスからアメリカへのギフトだったのだろう。

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大友美有紀 14年12月20日放送

141220-04
ZakVTA
「ティファニー」オープンハート

クリスマス・プレゼントにティファニーの何がほしい?
と聞くと、オープンハートとこたえる女性は、多い。
定番で、飽きがこないから。
いくつになってもつけられるから。

1974年ティファニーのジュエリー・デザイナーとなった
エルサ・ペレッティは、ヘンリー・ムーアの作品から、
オープンハートの着想を得たという。
空洞を持つ抽象的な彫刻、
純粋で滑らかなライン、
記憶を呼び覚ますような官能的なカタチ。
そこから生まれた洗練されたフォルムと
感傷を排したシンプルなデザインの
オープンハート。

エルサ・ペレッティは、語る。
 
 ジュエリーはファッションではない。
 流行にとらわれずに不変でなければならない。

エルサは20世紀のジュエリーデザインに
大きな変革を引き起こし、世界中の人を魅了した。
そして彼女の言葉通り、不変であり、
今なお愛されている。

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奥村広乃 14年12月14日放送

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Enzofloyd
南極のゴミ

「南極ごみ 難問山積み」
そんな見出しが新聞に載った。
カメラマン武田剛(たけだつよし)が、
2005年1月24日
昭和基地のゴミ問題を書いた記事だ。

カメラが写したのは、
何本ものタイヤやバッテリー。
さびた大型自動車など。
基地のそばで埋められ続けたもの。

記事にする前
武田は多いに迷った。
ともに過ごした仲間や、
厳しい環境に耐えて研究、観測を続けた先人たちを
非難することにつながるからだ。
しかし新聞カメラマンとして、彼は決心する。

記事は大きな反響を呼び、
日本政府はゴミ問題解決に向けて、
積極的に動き出す。
いま昭和基地は、当時よりぐっと綺麗になっている。

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