渋谷三紀 12年12月9日放送



集める人 ハーブ&ドロシー

夫のハーブは郵便局員、妻のドロシーは図書館司書。
ふたりの楽しみは現代アートの収集。
選ぶ基準はふたつだけ。
お給料で買える値段。
1LDKのアパートに収まるサイズ。

つつましい暮らしの中で、30年の歳月をかけて。
コツコツ集めた作品は4000以上。

アパートいっぱいに並べられたそれは、
アート史に名を残すミニマルアートや
コンセプチュアリズム・アーティストの名作ばかり。

それは、お金以上に愛情をかけてつくりあげた
ふたりだけのコレクション。
妻のドロシーは、こんなことを言っている。

美意識は人それぞれのものでしょう。
ハーブをハンサムだと思わない人はたくさんいるけど、
私にとってはキュートで魅力的な人なの。

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渋谷三紀 12年12月9日放送



集める人 タモリ

ある漫画家が、
タモリにこんな相談をした。

漫画家の自分がテレビに出ると、
必ずネットで悪口を書かれる。
自分はテレビに出ていいんでしょうか。

タモリは言った。

 出ていいんだよ。でも、
 出るなら見るな。見るなら出るな。だよ。

年下へのアドバイスは難しい。
ただの慰めでも、恩着せがましくてもいけない。

役に立つこと、言ってほしいことを言ってくれる。
タモリが若手の人望を集めてしまう理由が、
わかる気がする。

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渋谷三紀 12年12月9日放送



集める人 みうらじゅん

観光地で出くわす
「こんなの誰が買うわけ?」
と、問いただしたくなる土産物たち。

マイブームの生みの親、みうらじゅんさんは
それらを「いやげもの」と呼んで、
コレクションしている。

さすがに、これはいらないな。
思いとどまりそうになったとき、
みうらさんがいう言葉がある。

そこがいいじゃん。

使い方はこう。

 このペナント、大きすぎるよね。
 ・・・そこがいいじゃん!

 この人形、かわいくないよね。
 ・・・そこがいいじゃん!

視点をくるっと回転させて、
嫌いなものをなくしてしまう、魔法の言葉。
うまく使えば、生きるのが、すっと、楽になる。

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蛭田瑞穂 12年12月8日放送


mockstar
ジョン&ヨーコ①HAPPY XMAS

1969年の12月、ジョン・レノンとオノ・ヨーコは
世界の11都市に“WAR IS OVER! IF WANT IT”と書かれた
ビルボードを掲出した。

このメッセージを元に、1971年の12月、
ふたりは『HAPPY XMAS(War is Over)』を発表した。
曲の中でジョンとヨーコは繰り返し歌う。

 メリークリスマス
 そしてハッピーニューイヤー
 すべての恐怖から解放される
 幸せな一年であることを祈りましょう。

今年もまた、クリスマスの季節がやってくる。

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蛭田瑞穂 12年12月8日放送



ジョン&ヨーコ②imagine

1971年にジョン・レノンが発表したアルバム『imagine』は
オノ・ヨーコの存在なしには完成しなかった。

“imagine”から始まる歌詞はオノ・ヨーコの1963年の詩
『CLOUD PIECE』からインスパイアされた。

このアルバムにオノ・ヨーコは
「whip and mirror」としてクレジットされている。
「ムチと鏡」という意味である。

鏡のように向き合いながらも、
時にはムチのように厳しいオノ・ヨーコの存在。

そこにはジョンならではのユーモアを通した、
ヨーコの姿が見て取れる。

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蛭田瑞穂 12年12月8日放送


Roy Kerwood
ジョン&ヨーコ③internet

もしジョン・レノンが生きていたら。

1980年の12月8日以来、
世界中の人々が繰り返し抱き続けてきた問いかけに
オノ・ヨーコはこう答える。

 もしジョンが生きていたら、
 今でも世界とコミュニケーションを図っているでしょうし、
 それをインターネットを通してやっているでしょう。

インターネットの可能性についてヨーコはこうも語る。

 わたしたちは今、真のグローバル・ビレッジを
 実現しようとしています。
 インターネットは人々のパワーベースをつくるために
 使わなければいけないのです。

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蛭田瑞穂 12年12月8日放送


Jack Mitchell
ジョン&ヨーコ④ヌートピア宣言

1973年のエイプリル・フールに
ジョン・レノンとオノ・ヨーコが発表した「ヌートピア宣言」。

私たちは概念の国、ヌートピアの誕生を発表します。
ヌートピア意識のある方がヌートピアの市民です。
ヌートピアにはパスポートはありません。
土地もなければ、国境もなく、人だけがいます。
ヌートピアは宇宙の法則以外の法を持ちません。
ヌートピアのすべての人が、この国の大使です。

国旗は何も描かれていない白い四角。国家は6秒間の沈黙。

何もないことは、すべてがあること。
ひとりひとりは無力でも、集まれば無限のちからになる。
そんな精神が「ヌートピア宣言」には表れている。

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蛭田瑞穂 12年12月8日放送



ジョン&ヨーコ⑤Walking On Thin Ice

1980年12月8日、ジョン・レノンが凶弾に倒れたとき、
彼は『Walking On Thin Ice』というオノ・ヨーコの曲の
マスターテープを抱えていた。

 この曲は君の初めてのNo.1になる。

ジョンはそう言ってシングル盤の発売を主張していた。

『Walking On Thin Ice』は1981年にジョンの追悼のためにリリースされ、
2003年にはペットショップボーイズなどによる
リミックスアルバムとして発売された。

このリミックス盤が2003年、ビルボードの
「ホットダンス/クラブプレイ」チャートで1位を獲得し、
ジョンの予言は現実のものとなった。

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蛭田瑞穂 12年12月8日放送


dreampower-jp
ジョン&ヨーコ⑥ジョン・レノン スーパーライブ

ジョン・レノンはソロ時代、
コンサートはチャリティでしか行なわなかった。

その意思を受け継いで、オノ・ヨーコは
ジョン・レノンの名を冠したチャリティ・コンサート
「ジョン・レノン スーパーライブ」を2001年から開催している。

ライブは今年も、今日12月8日に日本武道館で行われた。

オノ・ヨーコは言う。

 ひとりで見る夢はただの夢、みんなで見る夢は現実になる。

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蛭田瑞穂 12年12月8日放送



ジョン&ヨーコ⑦追悼声明

1980年12月8日にジョン・レノンが凶弾に倒れたあと、
オノ・ヨーコは3回声明を出している。

最初は12月9日の朝に。
2回目はその翌日、ジョンが火葬された日に。
3回目の声明は12月14日、
悲しみに暮れる世界中の人々に向かってヨーコはこう話した。

 みなさまの涙と祈りに感謝しています
 空の中にジョンの微笑む姿が見えました
 悲しみが意思に変わるのが見えました
 われわれの心がひとつになるのを感じました
 ありがとうございます
            愛を込めて ヨーコ

今日12月8日はジョン・レノンの22回目の命日。
ジョンは今でもきっと、空の中で微笑んでいる。

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