佐藤延夫 12年10月6日放送


ショートショートの神様7

ショートショートの神様、星新一は、
1997年、71歳でこの世を去った。
彼の遺品からは、単語や短い文章だけが書かれた小さなメモや、
言葉の断片を組み合わせた下書きが大量に見つかっている。

  幽霊と催眠術。友情と動物園。月賦と殺し屋。ドラムと鬼。
  チョウチンとツリガネ。まばたきと変装。左利きのサル。
  裏返しの憲法。やとわれた怪物。


もちろん、これらの単語を小説にするために、
彼なりの方法論があった。

1、知識の断片を、できるだけ多く、広く、バラエティに富んでそなえていること。
2、その断片を手際よく組み合わせ、検討してみること。
3、その組み合わせの結果がどうなるかを、すぐに見透かしてみること。

ひとつひとつの物語を紡ぎあげ、
いつしか、1001編ものショートショートが生まれた。
その中のひとつ、「天国からの道」という作品は、こんな出だしで始まる。

  天国は長いあいだ独占企業だったので、天使たちはしだいに役人臭を帯びてきた

今ごろはきっと、シニカルな眼差しで天国を眺めているのだろう。

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