大友美有紀 12年10月20日放送



小川三夫「不器用な言葉」7

堂や塔は幾重にも材を組んで積み上げて行く。
ひとつひとつの材の寸法のわずかな違いが、
積み重ねれば大きな違いになってしまう。
けれども、いまの法隆寺の五重塔や薬師寺の東塔は、
1個1個の木材はみんな不揃いだ。
木の癖に沿って割ってつくっているから、みんなばらばらだ。

 ばらばらなんだけど、大事なところでは
 水平や垂直が通ってなければならない。
 不揃いの部材で組んだ法隆寺の五重塔は
 1300年も建っているんだ。
 1本1本支え合って総持ちで立っているんだからな。

宮大工・小川三夫は弟子も、
大勢育てるときは不揃いがいいと言う。

 腕も、考えも同じくらいというのが集まっても
 ろくなことはない。
 不揃いでなくちゃあかんのや。
 いいのもいる、悪いのもいるっていうのがいいんだ。
 総持ち、いい言葉だな。みんなで持つ。
 不揃いこそ、社会のかたちとしては安定感があるし、 強い。

不揃いを扱うと言うのは時間がかかるし、余裕がないとできない、とも言う。
人を育てるのに急いだらあかんでぇ、と。

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