2013 年 1 月 のアーカイブ

佐藤理人 13年1月12日放送


Francis Bacon
フランシス・ベーコン④「叫ぶ教皇」

 死が人を奮い立たせる。

フランシス・ベーコンの絵には、
常に暴力と恐怖の臭いが漂っていた。

彼が好んで描いた題材に
「泣き叫ぶ教皇」というものがある。

世界中のカトリック教徒を導き、
神の代理人をつとめるローマ教皇。
彼でさえ未知の力を前にして、
赤ん坊のように喚き、断末魔の叫びをあげる。

その絶望した表情は私たちに、
運命に対して人間は等しく無力である、
という残酷な事実を突きつける。

その彼をしても、

 新聞やTVを見てごらん。
 私が描くものは到底、
 今の世界の恐怖には敵わないよ。

と言う。

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佐藤理人 13年1月12日放送



フランシス・ベーコン⑤「むき出しの本能」

 何があなたに描かせるのか?

画家フランシス・ベーコンに
あるインタビュアーが尋ねた。

ベーコンは困った。

いくつもの戦争を経験し、
16歳からその日暮らしをしてきた彼にとって、
理由などなんの意味もなかった。

信じられるのは自分の本能。そして運。

 絵描きなら見る物を本能で描くことができるんだ。
 自己流で絶望しながら、本能に従って、
 あっちに行ったりこっちに行ったりしている
 ということだな。

描ける。だから描く。理由なんてない。

作品から一切の物語を排除し、本能のまま
むき出しの感情をキャンバスに叩きつけた
彼らしい答えだった。

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佐藤理人 13年1月12日放送


Cea.
フランシス・ベーコン⑥「ダイア」

出会いは強盗だった。

ジョージ・ダイアというコソ泥が
一軒の家に忍び込んだ。
そこには金目の物どころか
不気味な油絵と画材しかなかった。

侵入するとき天窓から落ちたせいで、
彼はすぐ家の主に見つかってしまう。

主は言った。

 キミは大した泥棒じゃないね。

彼の美しさに気づくと主はこう続けた。

 服を脱いでベッドに来たまえ。
 何でも好きなものをあげよう。

こうしてダイアは、
画家フランシス・ベーコンの最愛の恋人にして、
最高のインスピレーションになった。

彼を友人に紹介するときベーコンはいつも

 こいつは天から降ってきた贈り物さ

と笑って言った。

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佐藤理人 13年1月12日放送


Cea.
フランシス・ベーコン⑦「人生のギャラリー」

恋人が死んだとき、画家は喝采の中にいた。

1971年パリ。20世紀を代表する画家、
フランシス・ベーコンの大展覧会。
その記念すべき初日、
彼の恋人ジョージ・ダイアは自ら命を絶った。

 みんな死んでいく
 まるでハエのように

人生の冷徹なギャラリーである彼にとって、
心を病んだ恋人の姿は絶好の観察対象だった。

観察することは距離を置くことだ。

絵を描くときも、生身のモデルではなく
モデルを撮影した写真でデッサンするほど、
被写体を寄せ付けなかったベーコン。

彼の心の扉を開けない無力感が、
ダイアに死を選ばせたのだろうか。

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7ヶ月の育児の話し。

7カ月になると、おすわりも安定し
手先もちょこっと器用になります。

そして、破壊を覚えます。

「おれのゆび、いろいろできるぞ!!」
と発見するらしいのです。

具体的に言うと、
なにかをなにかで叩くのです。

まず、ガラガラを振る→音がして楽しい。
次に、たいこを叩く→音がして楽しい。
さらに、ガラガラでたいこを叩く→たくさん音がして楽しい!!
という感じですかね。

学習&応用している!
すーさん天才っ!!
(これが世に言う「うちの子天才かも」症候群)

ガラガラは振り回しすぎて中の鈴が壊れ、
たいこは割れました。
ついでに新聞もよく破られました。
赤子の力はあなどれません。

写真はわかりにくいのですが、
「実印」でオモチャを叩いているの図です。

実印ケースがにぎりやすいサイズで、
しかも振るとかちゃかちゃ音が鳴るので
お気に入りだったんです・・・。
この頃は、おでかけバッグに
オモチャと実印を入れて持ち歩く日々でした。
防犯にもなって一石二鳥!と思うことにしていましたが、
喫茶店なぞで振り回される方が危険だった気が
しないでもないです。

そんなこんなで、そろそろ保育園に入る準備です。
大丈夫か?!すーさん!!

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五島のはなし 番外 グランプリを取った五島の焼酎

写真がそれです。
福岡国税局管内の審査会で、143銘柄中1番になりました。
福岡国税局管内というのは
福岡県、佐賀県、長崎県の三県です。
この三県のなかの1位ということです。
九州は焼酎のうまいのがいっぱいありますから
これはなかなかの快挙です。
私もなんだかうれしいです。

そして、さらにうれしいことに
その焼酎が中村直史くんによって
居酒屋ランダムハウスに寄贈されました。
芋と麦、各2本づつあります。

中村くん、ありがとう。
みなさん、どうぞ飲みにきてください(玉子)

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大友美有紀 13年1月6日放送


humi
「春の七草」七草粥

 せり なずな ごぎょう はこべら
 ほとけのざ すずな すずしろ
 これぞ ななくさ

明日は一月七日。
歳時記によると、
七草粥を食べる風習は、
平安時代から始まったようだ。
七草は、六日の晩にまな板の上で叩く。
その時に、はやす言葉がある。

 七草なずな 唐土(とうど)の鳥が
 日本の土地に 渡らぬ先に 七草なずな

もとは鳥追い文句のようだ。
ななくさ打ち、宵なずな、とも言う。

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大友美有紀 13年1月6日放送


ドラ猫
「春の七草」セリ

七草粥は、
正月のご馳走で疲れた胃腸を休ませる。
特にセリにはデトックス作用が
あると言われている。
冬の季語に「芹焼」という言葉もある。
川魚や鴨などの癖のある匂いを消すために
セリが使われる。

 芹焼や 裾わの田井の 初氷 芭蕉

野趣に富んだ、冬料理の風景だ。
セリの香りが強く漂ってくるようである。

ただし、五月のセリは食べてはいけない。
セリによく似た毒草・ドクゼリが芽を出しているからだ。
似ているが、作用は真逆。ご注意を。

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大友美有紀 13年1月6日放送


k-maru
「春の七草」ナズナ

七草粥の日、地方によっては「七草もらい」という風習があった。
七歳の子が七日に、近隣七軒をお盆を持って回り、
家々の雑炊をもらって食べる。
子どもの無病息災を願ってのことだろう。

七草のひとつ、ナズナは子どもに親しまれている草でもある。
ペンペン草とも三味線草とも呼ばれ、
子どもの頃、その茎を振って「ペンペン」と音がするのではないか、
と試した人もいるだろう。
けれども、そんな小気味のよい音はしない。
すこし裏切られた気分だった。
その実の鞘の部分が、三味線のバチのカタチに
似ていることからきた呼び名だ。

 妹(いも)が垣根 三味線草の 花咲きぬ 芭蕉

早春に芽吹くその姿は、ういういしく、
幼子の生き生きとした姿をも思わせる。
ナズナというの名前には、
「撫菜」(なでな)、撫でて汚れをはらう、
と言う意味もあるようだ。

それもまた、新年の始まりにふさわしい。

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大友美有紀 13年1月6日放送


norak
「春の七草」ゴギョウ

七草粥に入れる七草のひとつ、ゴギョウ。
ハハコグサの別名でもある。
茎や葉がやわらかい白毛におおわれている。
その様子が母親が小さな子どもを包み込むように
見えるところから、ついた名だとも言われている。
茎の先端に小さな黄色い花が、ひしめき合って咲く。
つつましく、花の季節は長い。

 老いて尚 なつかしき名の 母子草 高浜虚子

密集して花咲く姿から、
父に先立たれた母子が、
寄り添ってくじけずに生きている姿をも思わせる。

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