三島邦彦 13年10月19日放送



おいしい料理をつくるひと

金沢の寿司の名店、小松弥助。
店主の森田一夫が軽妙に寿司を繰り出すその様は
「弥助劇場」と呼ばれ、多くの食通の心をつかんで離さない。

66歳の時、森田は一度店を閉めたことがある。
金沢を離れ、京都での隠遁生活。
余生をゆっくりと過ごすはずだった。
しかし、ふた月も経つとすぐにカラダがうずきはじめた。
森田は言う。

 魚屋の魚が私を呼んでいるように見えました。
 買うて、買うて言いよるんです。

  
寿司を握ることは己の天命。
それを知っているから、
82歳を超えた今日も、森田の「弥助劇場」の幕が開く。

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