川田琢磨 20年5月16日放送



希望という色をした器

高温の窯から焼き出された器から、
ピーン、ピーンと、
風鈴のような音が弾け出す。

「貫入(かんにゅう)」と呼ばれる、
やきものの表面に走るヒビが、
一筋一筋、天に任せて刻まれてゆく。

釉薬の収縮が引き起こすそれは、
繊細な色を湛える青磁の中に、無数の景色を描く。

氷のようなはかなさか。
はたまた、柳のようなたおやかさか。

人が、人工の玉(ぎょく)に求めたものは、
人智の及ばぬ美しさなのか。

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