原央海 19年2月16日放送



ラグビー 日本代表

ラグビーワールドカップ2015イングランド大会。
日本代表は、大会史上最大の番狂わせを起こした。
ワールドカップで24年間勝利のなかった日本が、
世界ランキング3位の優勝候補、南アフリカを倒したのだ。

その立役者の1人、日本の五郎丸歩選手はこう言う。

 これまで日本代表の歴史を作ってきた人たちの思いも背負って戦う。
 勝てない時代も必死に戦ってきた先輩たちがいて、
 はじめて僕らもW杯で戦えるんですから。

悔し涙を流し続けてきた日本。
今年のワールドカップで流す涙は、きっと嬉し涙だ。

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松岡康 19年2月10日放送



暗い家

デンマークの家は、暗い。
シーリングライトで部屋全体を照らしたり、
蛍光灯で白く明るく照らすのではなく、
低い位置にやわらかい照明を使用することがほとんどだ。

夏、緯度が高いデンマークでは、
太陽が沈んでも濃く青い空が数時間も続く。
デンマークの人々は、その時間をブルーアワーと呼び、
とても大切にしている。
暗くやわらかい照明は、
そのブルーアワーを引き立ててくれるのだ。

日本では明るい家が多い。
たまには家の蛍光灯を落として、
デンマークの人々の様に
日没後のうつろう空の色を楽しんでみてはいかがだろう。

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奥村広乃 19年2月10日放送



ブルーラグーン

温泉大国ニッポン。
この国には3,000を超える温泉地があるという。
では、世界最大の露天風呂はどこにあるか。
答えは、北欧・アイスランド。

広さ7,000平方メートル。
名前は、ブルーラグーン。
お湯の色は神秘的なミルキーブルー。
美しく、幻想的な景色に浸ろうと
世界中から観光客が集まってくる。

温泉の中には、
お酒を売っているバースペースも。
あったかい温泉で飲む、
キンキンに冷えたビール。
最高の贅沢。
温泉好きなら、
一度は体感してほしい名湯。
おとずれる際は水着をお忘れなく。

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澁江俊一 19年2月10日放送



SISU

フィンランドには
SISU(シス)という言葉がある。
日本語であえて言うなら
「大和魂」のような
心のありようを意味する言葉だ。

1939年。隣国ソ連と
冬戦争という過酷な戦争を戦ったフィンランド。
兵力には雲泥の差があり
他国からの支援もほとんどなかったが
マイナス40度という極寒の寒さと
自国の雪と森と湖を味方にしたフィンランド軍は
ソ連軍と勇ましく戦い、独立を守った。
まさにSISUの勝利だった。

とはいえSISUは根性論ではない。
逆境を前向きにとらえる力だ。
冬の寒い湖で泳いだり
雪の日にあえて散歩をしたり
苦手なことにあえてトライしたり
フィンランドならではの
人生の楽しみ方でもあるのだ。

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松岡康 19年2月10日放送


ruminatrix
休憩の文化

スウェーデン人は
フィーカと呼ばれる休憩時間を
とても大切にしている。

フィーカの時間には、家族、恋人、同僚などと一緒に、
スイーツとコーヒーを楽しむ。
たとえ仕事中であっても、みんなちゃんとフィーカをとるため、
フィーカが行われる朝10時と午後3時には、
メールを出しても返信が遅くなるらしい。

さらにフィーカをしていないと、
上司から怒られることもあるんだとか。
しかもスウェーデン、
世界的に見てもトップクラスの生産性を誇る。
休憩を上手に使い、上手に働く。
日本人が彼らに学ぶことは多い。

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澁江俊一 19年2月10日放送


VisitLakeland
サウナと日本

フィンランドと日本はよく似ている。
言語も性格も食文化も歴史も似ているのだが
中でも似ているのは
大自然の中で裸になる、あの体験。
そう、日本人が温泉を愛してやまないように、
フィンランド人はサウナを愛している。

日本に銭湯があるように
公衆サウナが町中にあり
日本に露天風呂があるように
湖のほとりにサウナがあるフィンランド。

日本にサウナが広がったきっかけは
1964年の東京オリンピック。
世界中からやってくる選手たちの要望で
選手村にサウナがつくられた。
そこから日本中にサウナが広まった。

フィンランドはサウナ発祥の地。
サウナで汗を流した後に
美しい湖に裸で飛び込む。
あの体験は日本人にとっても
この上ない幸せにちがいない。

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礒部建多 19年2月10日放送


Kristian Kangasniemi Photography
北欧メタル

北欧は、メタルミュージック先進国である。
メタルバンドの数は、
スウェーデン、デンマーク、ノルウェーを含む
スカンジナビア半島で高く、
特にフィンランドでは、
人口10万人あたり53.2組と、世界トップだ。

その理由は諸説ある。
メタルのエモーショナルな暗さは、
北欧の長く寒い冬を映し出すものだという説や、
メタルの持つ怒りや暴力性は、
北欧のヴァイキングと呼応するという説もあったとか。
もちろん、本当の理由は分からない。

しかし事実として、
北欧諸国では国が教育の一環で
音楽活動・バンド活動に対して
資金や場所を手厚くサポートしてくれるのだ。
すべての文化や、創造性を支援する。
寛容で温かな国民性だからこそ育まれたのは、
間違いなさそうだ。

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奥村広乃 19年2月10日放送


Roo Reynolds
グトルフォス滝

アイスランド最大の滝。
その名もグトルフォス。

アイスランド語で「黄金の滝」という意味だ。
最大幅は約70メートル。
最大落差は約30メートル。
20世紀初頭、
この滝一帯に水力発電所の建設が計画された。
自然を壊す大工事。
計画に反対した少女が
滝壺に自らの身を投じようとしたことで、
工事は中止された。

雄大で、時には厳しい顔を持つアイスランドの自然。
これほどの景色が残っているのは
そこに暮らす人々が
自然を大切にしてきたからに他ならない。

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礒部建多 19年2月10日放送


Doug Oines
ニッケルハルパ

スウェーデンの伝統楽器「ニッケルハルパ」。
「ニッケル」は鍵盤を意味し、
「ハルパ」はハープを意味する。
形はバイオリンに似て弓で弾くが、
弦ではなく、鍵盤を押さえて演奏する。

4本のメロディーを鳴らす弦のほかに、
12本もの共鳴させる弦を持つのも特徴的だ。
構造は複雑だが、演奏は簡単で、初心者でも扱いやすい。

その音色はとても豊かで、
16本の弦が織りなす、エコーがかかったような柔らかい響き。
どこで弾いても、
まるで天井の高い教会で演奏しているかのように、音に包み込まれる。
国の持つ豊かさは、きっと楽器にも宿るのだろう。
繊細かつ雄大な音色を、是非試してみてほしい

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渋谷三紀 19年2月9日放送



スキャンダル文学史 漱石、最後の恋

大正四年の春だった。
京都で療養中の夏目漱石は、
お茶屋の女将、磯田多佳と恋に落ちた。

「晴れたら梅を見に北野天満宮へ行きましょう。」
交わした約束は果たされることなく、
鴨川をへだてた祗園の多佳に向け、
漱石はこんな句を詠んだ。

春の川を隔てゝ男女哉

稀代の文豪にしては、
あまりにストレートがすぎる。
翌年、漱石はその人生に幕を閉じた。

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