若杉茜 20年6月28日放送



パフェの話  ニッカボッカの栄光

イギリスのお菓子の名前はなんとなく癖のある、面白い名前が多い。

その中でもひときわ異彩を放つのが、Knickerbocker’s glory。
ニッカボッカの栄光、という意味だが、
実はこれ、イギリスでのパフェの名称なのだ。
イギリスでパフェというとお肉のパテを指すので、
我々がパフェと思っているものを食べようとすると
Knickerbocker’s gloryと注文しなければならない。

この不思議な名前の由来は謎に包まれている。
日本でも知られているあのニッカボッカが
イギリスの女性に大流行していた頃、
赤と白のそのデザインにパフェが似ていたから、とか、

作家のワシントンアービングが
作中でニッカボッカというペンネームを使ったから、とか、
NYのホテルの名前から、とか。

ひざ下ズボンの栄光なのか、NYの栄光なのか、はたまた違うものなのか。
謎に想いを馳せながら、いつかイギリスで、
ニッカボッカの栄光を注文してみたい。

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茂木彩海 20年6月28日放送


ichigo
パフェの話  パフェの設計

生クリームにチョコレートソースに季節の果物。
そしてアイスクリームとスポンジケーキ。

パフェの要素になるスイーツをひとつずつ並べてみても、
やっぱりパフェを目の前にした時の高揚感とは比べ物にならない。

その理由はきっと、他のスイーツにはない
「高さ」にあるのではないだろうか。

最下層には、アイスやクリームが溶けても
形が変わらないポンジケーキやコーンフレークを。
そしてその上には生クリーム、チョコレートソースが続く。

この3層を基本にしながら
最後にフルーツや生クリームでデコレーションするというのが
ベーシックなパフェの盛り付け方だと言われている。

作り手のパティシエからすると、
高さがあることで、食べて欲しい順に
パフェの層を設計することができるというわけだ。

作り手だけが知っているパフェの設計図を
おいしく解明しながらパフェを食べよう。

今日、6月28日は、パフェの日。

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熊埜御堂由香 20年6月28日放送



パフェの話  コンフレークの存在意義

昨年、人気のあるお笑いコンビが、
パフェのコンフレークをかさ増しだとネタにした。
そのネタは、パフェの中にひっそり積まれていたコンフレークが
困惑するほど話題になった。
コンフレークの代わりにスポンジや、
グラノーラを使ったパフェを提供するファミリーレストランが
現れるなど、パフェ界にもコンフレーク議論が巻き起こった。

コンフレークの役割は?
パフェの魅力である誇らしげにそびえたつ高さを演出するため?
いやいや、箸休めならぬ、スプーン休めとして、
アイスやソースの甘さをサクサクの食感でリセットするため?

今日はパフェの日。
コンフレークの存在意義とは何か?
はさておき、パフェ、食べませんか。

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小野麻利江 20年6月28日放送



パフェの話  パフェとサンデー

今日6月28日は、パフェの日。

「パフェ」といえば、知っているようで知らないのが
「サンデー」との違い。

パフェの発祥はフランス。
「完全な」を意味する「パルフェ」が、日本で変化したもの。

一方、サンデーの発祥はアメリカ。

アイスクリームショップで毎週日曜に売られていたので
「サンデー」と呼ばれるようになり、
でも宗教的な理由から、商品のスペルは変えられた
という説や、

キリスト教の安息日にあたる日曜日に、
豪華なパフェを食べるのは良くないということで、
少しだけ質素なつくりのサンデーにした、という説がある。

そう聞くと確かに、
パフェは深めのグラスに入れられて、
フルーツやトッピングがたっぷり。

サンデーは、浅めのグラスに入れられて、
アイスクリームを中心に、シンプルなトッピングになっている。

今日はパフェの日。
でも今日は日曜、サンデーでもある。

あなたなら、どちらを食べますか?

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石橋涼子 20年6月28日放送



パフェの話  おうちパフェ

喫茶店やレストランの定番デザート、
パフェ。

始まりは明治時代の西洋料理だが、
昭和に入り、果物屋と喫茶店を兼ねた
フルーツパーラーの流行とともに、
日本独自のパフェに進化したと言われている。

チョコレートやプリン、シュークリームなど
お菓子がたっぷり載ったパフェもいいけれど、
季節の果物がきちんと入っていると
贅沢感が増しつつ罪悪感が減るような、
良い気分になるものだ。

パフェというと、お店で食べるイメージがあるが、
自宅時間が増えたことと、
SNSでの写真映えがすることから
おうちパフェも盛り上がりを見せている。

グラスに好きなものをデコレーションするだけだから、
家でつくるのは、想像以上に簡単だ。
子どもと一緒に楽しんでも良いし、
自分へのご褒美をギュッと詰め込んでもいい。

パフェには、つくる時間にも幸せが詰まっている。
今日、6月28日は、パフェの日です。

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石橋涼子 20年6月28日放送



パフェの話  プルースト効果

マルセル・プルーストによる文学作品
『失われた時を求めて』。
主人公が、マドレーヌと紅茶の香りに刺激を受け、
幼い頃を思い出すシーンから始まる。

これをプルースト効果と言うように、
食べ物の匂いと味は、人間の記憶にリンクしやすい。

さて、
冷たいアイスとフルーツと、生クリームと。
デザートの宝箱のような、パフェ。
あなたが思い出すのは、どんなパフェだろうか。

家族で出かけたデパートの最上階の、ご馳走の味。
友だちとおでかけした都会のオシャレなカフェの味。
古い喫茶店で食べた、缶詰のチェリーが載ったあの味。

いくつになっても贅沢で、憧れる存在のパフェ。
思い出さえも甘く刺激してくれる。
今日、6月28日は、パフェの日です。

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熊埜御堂由香 20年6月28日放送


Yuichiro Haga
パフェの話  締めパフェ

食事や飲み会の後に食べる締めのパフェ、
通称「シメパフェ」が全国的に流行っている。
紳士もソフトクリームを舐める街とも言われる札幌が発祥だ。
老若男女問わず甘いものを好むひとが多いそうだ。

食事の終わりに向かい合ってパフェを食する。
締めのラーメンでは生まれない、
幾重にも重なる濃密な時間が生まれそうだ。
今日、6月28日は、パフェの日です。

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古居利康 20年6月27日放送



家康がつくった図書館

江戸城の一角に図書館があった。
その名は紅葉山文庫。
1602年、幕府を開く前の年に、
徳川家康がひらいた。

キリスト教の宣教師がこの国に伝えた
活字印刷。16世紀末には書物の出版が
盛んになっていた。
家康は、歴史書や学術書など
広く収集する一方、みずからも
和漢の古典を出版するほどだった。

紅葉山文庫は、そんな家康の
書物好きの、いわば集大成とも言えた。

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古居利康 20年6月27日放送



書物奉行と書物同心

江戸城内にあった図書館、
紅葉山文庫。開設者、徳川家康。
5名前後の書物奉行と
20名ほどの書物同心が専任で勤務し、
11万を超える蔵書の管理にあたった。

書物の虫干し、保存状態の検査、
地震や大雨のあとの書庫内の点検などなど、
書物を守ることが何より大事なお役目だった。

書物奉行を拝命した人物が
就任にあたって提出した誓約書が残っている。
「虫に喰われぬよう、入念に手入れをすること。
無断で貸し出したり写したりせぬこと。」
将軍専用の図書館だけに責任も重かった。

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古居利康 20年6月27日放送



徳川吉宗が借りた本

将軍専用の図書館、紅葉山文庫。
徳川家康が江戸城内に開設した。

初代に劣らぬ書物好きだったのが、
8代将軍、徳川吉宗。
彼が閲覧した書物の記録が残っている。

たとえば1723年(享保8年)
天然痘に関する中国の医学書を
20冊以上借りている。
この年、江戸の街に流行していた天然痘。
当時不治の病とされ、多数の死者を
出していたこの災厄から民を救う知恵を
みずから探そうとしたのか。

数々の改革で幕府を立て直した将軍の
真摯な思いが伝わってくる。

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