茂木彩海 15年3月15日放送

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旅のはなし 日本人の旅

庭は限られたスペースに自然を創造し、
盆栽は鉢の上で大木を再現する。

日本の弁当は美しい食卓の縮小であり
俳句はわずか17の文字で森羅万象を表現する。

縮めることや細工することを好む日本人の性質には
「旅」が関係しているという。

他の大陸のように馬車を使わなかった日本人は、
荷物を背負い、山を越え川を渡って歩き続ける、という
原始的な旅をしていた。

そのため
物を縮め、小さくすることに大変な価値があったというわけだ。

細工してないものは「不細工」と非難し、
詰め込まないものは「詰まらない奴」と侮辱した。

見回してみれば当たり前に存在する日本らしさの中に、
旅好きの精神が現れる。

はるか昔から旅の趣を理解し、小さい荷物で出かけた
先人たちの背中を想うと
つい、旅の計画を練りたくなってしまう。

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茂木彩海 15年3月15日放送

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pingnews.com
旅のはなし 小田実の旅

作家であり、政治活動家であった小田実。

東京大学文学部を卒業後、1958年に渡米。
一枚の帰国用航空券と持参金200ドルを握りしめて世界一周旅行に出かけ、
世界のあらゆる人たちと語りあった。

その様子を描いた著書、「何でも見てやろう」は
当時若者達の間でベストセラーになり、
バックパッカーの草分け的存在として今も語り継がれている。

 まあ、もうちょっと、行ってみようやないか。
 ほんとうに未知なものにむかって進むとき、
 人はそんなふうに自分に対して言うほかはない。

単純で大きな好奇心を満たすのに
旅より良い方法は、ちょっと見つからない。

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小野麻利江 15年3月15日放送

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suttonhoo
旅のはなし 旅に出てきた甲斐・沢木耕太郎の場合

旅に出ても、
旅先で何をすればいいかわからない。
そんな人がいたら、
沢木耕太郎のこの言葉を伝えたい。

 これから毎日、朝起きれば、
 さてこれからどうしよう、と
 考えて決めることができるのだ。
 それだけでも旅に出てきた甲斐が
 あるように思えた。

やることが、まだ決まっていない。
それだけでも、旅は冒険になる。

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小野麻利江 15年3月15日放送

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旅のはなし 旅に出る理由と、くるり「ハイウェイ」

 僕が旅に出る理由は だいたい百個くらいあって

ロックバンド・くるりの
代表曲のひとつ、「ハイウェイ」。
歌い出しのこの歌詞は、
旅のはじまりに感じる静かなワクワクを
記憶の中から連れてくる。

 ひとつめはここじゃどうも 息も詰まりそうになった

「だいたい百個くらいある」らしい
旅に出る理由を
ボーカルの岸田繁が、ぽつりぽつり紡ぐ。

 ふたつめは今宵の月が 僕を誘っていること
 みっつめは車の免許 とってもいいかな なんて 思って いること

でもどの理由も、本当の理由じゃないように聞こえる。
旅を愛する人なら、聴けばわかるはずだ。
歌の終盤で、岸田もこう言っている。

 僕には旅に出る理由なんて何ひとつない

旅に出たい、旅に出ようという衝動。
くるりの「ハイウェイ」には、
その衝動が、濃縮された原液みたいに詰まっている。

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厚焼玉子 15年3月14日放送

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三人のマーサ1

アメリカ合衆国歴代のファーストレディには
三人のマーサがいる。
ひとりめは初代大統領ジョージ・ワシントン夫人
ふたりめは、三代め大統領トマス・ジェファーソン夫人
三人めは、そのトマス・ジェファーソンの長女、
マーサ・ジェファーソンで
亡き母にかわってファーストレディの役割を担った。

マーサという名前は
聖書に出てくるベタニアのマリアの姉マルタに由来する。
イエスがその家を訪れたとき
姉のマルタはイエスをもてなすために一生懸命働いたが
イエスの心にかなったのは妹マリアだった。

忙しかったマルタ、でも褒められたのはマリア。
どうも割に合わない。

36代ファーストレディ、ジョンソン夫人はこんな言葉を残した。
「ファーストレディとは、一人の人間、つまり夫から選出された、
 給料がもらえない公務員です。」

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厚焼玉子 15年3月14日放送

150314-02

三人のマーサ2 

アメリカ合衆国歴代のファーストレディには
三人のマーサがいる。
そのひとりめは、初代大統領ジョージ・ワシントン夫人。

ジョージ・ワシントン夫人のマーサは
裕福な農園に生まれた。
丸顔で小柄だったが乗馬が得意で、
馬で階段を駆け上がるほどの腕前だったという。

18歳で結婚、25歳で未亡人になり
その2年後にジョージ・ワシントンと結婚した。

夫が大統領に選ばれてしまうと
ファーストレディとしてのつとめは果たし、
どんな行事も几帳面にこなしていたが、
あくまでも控えめで奥ゆかしく
内助の功ともいうべき姿だったと伝えられる。

ワシントンが亡くなるとき
マーサは
「もうすぐおそばに参ります」と話しかけている。

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厚焼玉子 15年3月14日放送

150314-03

三人のマーサ3

アメリカ合衆国歴代のファーストレディには
三人のマーサがいる。
ふたりめは、三代め大統領トマス・ジェファーソン夫人。

トマス・ジェファーソン夫人のマーサは
大きな目をしたほっそりと優雅な女性で
たいへん美しかったといわれる。

18歳で結婚し、2年足らずで未亡人になったとき
当時弁護士だったトマス・ジェファーソンがあらわれた。
マーサはハープシコード、トマスはバイオリン、
仲良く演奏する姿が見られるようになった。

ふたりが結婚して11年め
マーサは死の床にあった。
トマスはマーサに二度と妻を持たないことを誓い、
それを実行した。

マーサはトマス・ジェファーソンが
大統領になる前に亡くなったが
歴代のファーストレディのひとりに数えられている。

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厚焼玉子 15年3月14日放送

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三人のマーサ4

アメリカ合衆国歴代のファーストレディには
三人のマーサがいる。
三人めは、三代め大統領トマス・ジェファーソンの娘マーサ。

マーサはトマス・ジェファーソンとその妻マーサの
長女として生まれた。
10歳で母を失い、12歳からパリで教育を受けていたが
修道女になりたいと考え始めたために連れ戻され
17歳で政治家の従兄弟と結婚した。

父トマス・ジェファーソンが大統領に就任したときは
すでに4人の子供がおり、しかも妊娠中だったが
亡き母にかわってファーストレディの役目を担った。
社交行事、家政のきりもり。
そして、その間に4人の子供を出産している。

修道女になりたかった女の子から
タフなファーストレディへ変身したマーサ。
マーサは大統領である父親似だったといわれている。

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礒部建多 15年3月8日放送

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yto
水木しげるとジャンクフード

今日は、漫画家水木しげるの誕生日。

93歳になる今でもハンバーガーや、牛丼、
スナック菓子など、ジャンクフードを好んで食べる。
彼には、一切の健康法はないと言う。

 何が体にいい、悪いなど気にせず、
 おいしいものをおいしく食べる。

思うままに、楽しみ尽くそうとする。
水木は人生に、希望しか見いだしていない。

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松岡康 15年3月8日放送

150308-02
Turinboy
スランプ

今日は、漫画家水木しげるの誕生日。

60年近くにわたる漫画家人生で、
スランプはなかったのか。
聞いてみると水木はこう答えた。

 生きているかぎり描けばいいんです。
 スランプになったとか何とかいうのは、
 人にほめられたい気持ちが
 心の底に無意識にあるに違いない。

40歳を過ぎても、全く食べていけなかった水木。
それでも、好きな漫画をまっすぐに描き続け、
93歳の今でもまだ、描き続ける。

水木しげるの一番の能力は、
人の目を気にせず
好きなものを貫くエネルギーだ。

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