大友美有紀 13年5月5日放送
「父と息子」ディケンズ
病気や悲しみも人にうつるが、
笑いと上機嫌ほど、
うつりやすいものもこの世にはない。
「オリバーツイスト」「クリスマスキャロル」、
イギリスの国民的作家、チャールズ・ディケンズ。
幼い頃、
のんだくれで賭け事が好きな、でも気のいい父と
その友人たちの気をひくために、
酒瓶の散乱したテーブルにのぼり、
滑稽なジェスチャーとダンスを披露した。
後に父は破産し、チャールズたちを苦しめることになる。
それでも、酔っぱらいの前の卓上で味わった
喝采と注目、人を楽しませることの喜びが、
のちのディケンズをつくった。
彼の弱者への視点は、父から生まれたものだった。