大友美有紀 13年5月5日放送
「父と息子」ルノワール
「どん底」「大いなる幻影」「ゲームの規則」
1930年代、トーキー映画の幕開けの時代、
次々と傑作を世に送り出した映画監督。
ジャン・ルノワール。
父親は、印象派の巨匠、オーギュスト・ルノワール。
映画は芸術か?と問われれば、映画も庭いじりも
ヴェルレーヌの詩やドラクロワの絵と同等に芸術だという。
父は私に芸術の話などしたことがない。
この「芸術」という言葉に我慢がならなかったのだ。
こどもたちが絵をやろうと、芝居か音楽でも
まったく勝手だった。
ただし、それをやりたいという気持ちが
限りなく強くなって、
どうしてもやらずにいられないようにならなければ、
駄目なのだ。
ジャンの一生は、オーギュストが与えた影響を
確定しようとする試み費やされた。
抜け出そうとしたり、学んだことを実行したり、元に戻ったり。
彼の映画は、父の影響を隠せば隠すほど、
父を感じるものになった。