39kochi
七草その1 貝原好古
1月7日。七草の日。
七草は日本の田畑に生える野草だが
大根が「すずしろ」、はこべは「はこべら」など
みやびな名前が覚えにくい。
これを覚えやすい順番で読み上げると
芹、なづな、おぎょう、はこべら、ホトケノザ
すずな、すずしろ。
さらに五七五のリズムをつけ、
短歌として読むと、こうなる。
芹、なづな、おぎょう、はこべら、ホトケノザ
すずな、すずしろ、これぞ七草。
これは貝原好古が編纂した江戸時代の歳時記に
載っているそうだが、
なるほど、確かに覚えやすい。
2017 年 1 月 7 日 のアーカイブ
厚焼玉子 17年1月7日放送
厚焼玉子 17年1月7日放送
七草その2 宇多天皇
1月7日。七草の日。
いまでは漢字で七つの草と書くが
昔は七つの種類と書いて「ななくさ」だった。
そして、平安時代はキビや粟、胡麻や小豆など
もっぱら穀物が使われていた。
この七種粥を宮中に取り入れたのは
平安中期の帝、宇多天皇で、
これと同時に五月五日のチマキ、七月七日の素麺なども
宮中の行事食としてお定めになった。
7種類の穀物の七草粥。
年の初めの行事でお疲れの天皇を
おなぐさめしただろうか。
厚焼玉子 17年1月7日放送
Yakinik
七草その3 ナヅナ売り
1月7日。七草の日。
その1日前の1月6日、
江戸の町にはナヅナ売りの声が聞こえた。
ナヅナはぺんぺん草のことで、
そのへんに生えている野草を取って売るのだから
値段も安く、
ナヅナを売るのは老人や子供のアルバイトだった。
柳多留という江戸時代の川柳の本には
親切にもナヅナ売りの年齢を教えてくれる句が見える。
ナヅナ売り 六十以上 十五以下
厚焼玉子 17年1月7日放送
コーッターター
七草その4 大平与兵衛
1月7日。七草の日。
東京なら冬でも緑のハコベを摘むことができるが、
草はおろか地面さえ見えない雪国の七草は
何を食べるのだろう。
大平与兵衛という人の「農家年中行事」には
江戸時代の越後の国の七草が記されているが、
大根、ごぼう、人参、昆布、スルメ、里芋、こんにゃく…
雪の中で保存ができる根菜類を中心にした
いかにも雪国らしい七草だ。
いまでも雪の深い地方には
干し柿や黒豆、栗などを七草にするところもあると聞く。
芹やナヅナにこだわることなく
オリジナルな七草があってもいいのかもしれない。
厚焼玉子 17年1月7日放送
k_haruna
七草その5 将軍さま
1月7日。七草。
江戸時代は七草の節句が公式行事だったので
将軍さまも七草粥を召し上がった。
武家の七草粥は作るのにも作法があった。
台所の係は紋付に裃をつけて
七草の前の日の夕方、
おまじないの歌を歌いながら
まな板にのせた七草をトントン叩いた。
七草粥に使われるのは田畑に生える野草だが、
胃を丈夫にしたり肝臓の機能を回復させるなどの
効能を持っている。
将軍さまがいなくなっても
七草が公式な行事でなくなっても
七草粥は健康食として愛されている。